【MLB】イチロー殿堂入りは「議論の余地もない」 米メディア「最初の10年だけで十分」

現役引退を表明したマリナーズ・イチロー【写真:Getty Images】

全盛期の凄まじい成績に再脚光「10年前に引退しても余裕で殿堂入り」

 21日のアスレチックス戦(東京ドーム)を最後に現役を引退したマリナーズのイチロー外野手。メジャー通算3089安打、日米通算では“世界最高”の4367安打を放ってきた背番号51は、米国野球殿堂入りも期待されているが、米メディアは「(殿堂入りには)最初の10年だけで十分」だと称賛。殿堂入り自体については「議論の余地もない」ほど確実だと指摘している。

 米メディア「スポーティング・ニュース」は「イチロー・スズキは19シーズンを過ごしたが、殿堂入りは最初の10年だけで十分だ」とのタイトルで特集を掲載。冒頭で「イチロー・スズキは殿堂入りが期待されている人だ。それには本当に議論の余地などない」と断言している。

 イチローはメジャー19シーズンで2653試合に出場し、3089安打を放ってきたが、最初の10年間は特に強烈だった。デビューイヤーの2001年に首位打者と盗塁王に輝き、史上2人となる新人王とMVPのダブル受賞という偉業を達成。10年連続200安打&オールスター出場&ゴールドグラブ受賞と圧倒的なプレーを見せ続けた。

 記事では「注目すべきは、もし彼が10年前に引退していたら、余裕で殿堂入りしていただろうということだ」と言及。2011年以降、特にマリナーズを2012年途中に出てからは起用法の変化などもあって、200安打や打率3割を1度も達成できなかっただけに「イチローの2011年以降の成績は素晴らしくはない」とはっきり指摘している。

2010年までの10年間は「異常なほど素晴らしい」「別格の数字」

 その上で、「仮に2011年以降の彼の全打席を省いたとしても、イチローは依然として殿堂入りする選手である」と分析。「2001年の新人王に始まり、10年連続200本安打達成、2004年にはMLBのシーズン最多安打記録となる262安打を放った。最初の10年間で平均224安打を打っており、これは異常なほど素晴らしいことだ。その10年間の合計は別格の数字である。彼はその間、打率.372だった2004年を含め、2度の首位打者を獲った。最初の10年間、彼は打率.303を決して下回ることはなく、決して出塁率.350を下回ることもなかった」。どこを切り取っても、その成績は凄まじい。

 イチローはチャンスに強いことでも知られており、メジャー通算での得点圏打率は.308、満塁での打率は.373を誇る。ただ、これもキャリア終盤でやや数字を落としており、262安打を放った2004年は得点打率.372、満塁での打率は.583と圧倒的だった。

 いかに相手から恐れられていたかは、敬遠四球の多さでも分かる。イチローは2002、04、09年と3度リーグ最多敬遠を記録している。特集ではそのことも紹介しつつ「典型的な強打者ではなかったけれども、イチローはホームランを打つに十分なパワーを備えていて、2005年にはキャリア最高の15本塁打を放ったことからもそれが言える」と長打力を併せ持った選手だったことも特筆。「一流の出塁能力、スピード、そして時折見せる長打力(本塁打)を備えたイチローは、2001年から2010年までメジャーリーグのどの選手よりも完成された選手だった」。全盛期はまさに完璧な打者だったとの評価だ。

 もちろん、10年連続ゴールドグラブ賞に輝いた守備力でもメジャー史に名を残している。1年目の「レーザービーム」で知られるようになった強肩、「エリア51」と呼ばれた広い守備範囲などで絶大な評価を受けた。それだけに、特集では「打席でも外野でも、イチローは10年間、一流の完璧な選手だった。彼の殿堂入りは確保されている」とした上で「彼は19シーズン、私たちの前でプレーしたが、殿堂入りには最初の10年だけで十分だ」と締めくくっている。

 ユニホームを脱いだことで、イチローの輝かしいキャリア、プレーが再び脚光を浴びている。(Full-Count編集部)

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