スマホに緊急メール 土砂災害警戒情報、5市町で運用開始 減災

神奈川県庁

 台風や豪雨時に発表される「土砂災害警戒情報」をスマートフォンなどに緊急速報メールで自動配信する取り組みが25日、神奈川県内でスタートした。西日本豪雨を受けて県が打ち出した被害軽減策で、まずは横浜など5市町が対象だ。早期の避難行動につながるよう配信地域を順次拡大し、命を奪う崖崩れや土石流からの「逃げ遅れゼロ」を目指す。

◆早期避難へ自動配信

 メール配信の運用が始まったのは、横浜(北部、南部)、川崎、相模原(東部、西部)、小田原の4市と中井町。これらのエリアにあるスマートフォンや携帯電話に「土砂災害警戒情報を発表しました。土砂災害や今後の気象情報等に十分注意してください」などとするメールが県砂防海岸課から自動で送られる。

 住民でなくても、発表対象地域にいる人にメールが届く仕組み。「情報を即座に伝え、自主的な判断で避難行動を取ってもらうのが狙い」(同課)だが、端末や電波の状況によっては受け取ることができない場合もある。

 降雨の状況や土壌に含まれる雨量などを基に県が横浜地方気象台と共同で出す土砂災害警戒情報は、大雨警報の発表段階より危険な状況を意味する。気象庁が現在、検討している防災気象情報のレベル分け(5段階)では、上から2番目の警戒レベル4に位置付けられる見通しだ。対象地域の住民らが取るべき行動として「指定緊急避難場所などへの立ち退き避難」や「緊急避難」が挙げられている。

 また、横浜市は県に歩調を合わせる形で、土砂災害の危険性が高い区域に対する避難勧告を緊急速報メールで即時配信する独自の対策を25日に開始した。県からのメールに続けて市から2通のメールを送り、あらかじめ設定してある避難勧告対象地域(110カ所)の人々に対し、さらに避難を促す。

 東京経済大の吉井博明名誉教授(災害情報論)はこれらの施策について、「緊急速報メールは便利な仕組みだが、土砂災害警戒情報には『空振り』の問題もある。避難の在りようを住民と一緒に探るなど、きめ細かな対応が欠かせない」と指摘している。

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