寄木細工に漆器、若手作家が力作 小田原で新作発表展示会

和室の部屋いっぱいに若手作家の作品が並ぶ展示会=小田原市南町の清閑亭

 神奈川県小田原市内や箱根町内で木工業に携わる若手作家18人による新作発表展示会が24日、小田原市南町にある歴史的建造物の清閑亭で始まった。職人の独創的な視点で制作された作品約200点が展示・販売されている。ストラップ状の飾り「根付け」を競うコンペもあり、盛り上げを図っている。4月7日まで。入場無料。

 展示会は、木工を通じて地域の魅力を発信することを目的に結成した「いぶき会」の主催で12回目。20~50代の会員が毎年、清閑亭で初めて公開する作品を「新作」として展示している。今回も明治期に建てられたとされる清閑亭の和の空間に、ろくろ、指物、寄木細工、漆器などがずらりと並んでいる。

 1階の蔵には、若手ならではの発想でデザインされた根付け作品を紹介。ウイスキーの樽(たる)材を加工した「樽笛」(府川寛さん)や、丸みを帯びた木材を組み合わせて赤ちゃんをあやす道具にもなる「ひのきのかたかた」(堀内ウッドクラフト)など目を引くものが多い。来場者が感想を記入して投票する仕組みで、トップ3を競う。

 相模湾が見晴らせる2階では、ブローチやピアス、針山など生活の中に取り入れやすい実用品を展示している。

 神代木(しんたいぼく)と呼ばれる素材から木像嵌(もくぞうがん)ブローチを作る土生陽子さん(47)によると、基本的には着色せず、木材本来の色をパズルのように組み合わせるという。「同じデザインでも木目や色によって表情が全く異なる」と、その魅力を語る。

 市内酒匂から訪れた無職関根正明さん(63)は「木の香りが大好き。化学製品の臭いが苦手なので、木製品があると安心しますね」と見入っていた。いぶき会の小島裕平会長は「ぜひ手に取って見てください」と呼び掛けている。

 午前11時~午後4時。火曜休館。

© 株式会社神奈川新聞社