サイダーガール、さらなる可能性を魅せた! 「サイダーガールTOUR2019 サイダーのゆくえ -SPACESHIP IN MY CIDER-」ツアーファイナルZepp DiverCity Tokyo公演ライブ

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サイダーガール史上最大規模、かつ初となるワンマンツアー「サイダーガールTOUR2019 サイダーのゆくえ -SPACESHIP IN MY CIDER-」が3月24日、Zepp DiverCity Tokyoでファイナルを迎えた。炭酸の泡を、煌く無数の星の輝きに見立てたと思しきタイトルも実にいい感じだが、バンドの止まらない人気上昇を物語るように公演は見事、ソールドアウト。ぎゅうぎゅう詰めのスタンディングの1階はもちろん、2階席も埋めた観客がハンドクラップやシンガロングで応える中、バンドは2時間にわたって熱演を繰り広げたのだった。

北は札幌から南は福岡まで、ほぼ2ヶ月かけて全11公演を行った今回のツアーが苦しいこともありながら、有意義なものになったことは、Yurin(Vo&Gt)が序盤に言った“あっという間だった。最後だと思うと、すごく寂しい”という言葉からも窺えたが、この夜、彼らは自分たちにとって最大キャパとなる会場をいっぱいにしただけではなく、機材トラブルを後々ファンの間で語り継がれる思い出に変えたことも含め、ライヴ・バンドとして、さらに成長したことも見せつけながら、バンドにとって大きな挑戦だったツアーの有終の美を飾った。

この夜、楽曲の世界観を表現した映像を使いながらバンドが演奏したのは、昨年11月28日にリリースした2ndアルバム『SODA POP FANCLUB 2』の11曲と予定外の1曲も含む全23曲。今回のツアー全公演をサポートした細川千弘(Dr)がフロントに立つ3人を煽るように性急なビートを鳴らした1曲目の「アクセル」から、太い音色でベースを奏でるフジムラ(B)が“もっと行こうぜ!”と客席に声をかけながら「メッセンジャー」「エバーグリーン」とたたみけると、「パレット」では“歌えますか?”というYurinに応え、早速、観客が声をあげた。

爽快なロック・ナンバーとダンサブルなポップ・ナンバーをテンポよく繰り出しながら、ツアー中の機材車の中の3人の様子が垣間見られるショート・ムービーを挟んでからの中盤では、ジャズの要素もある「化物」、歌詞がクセになる「なまけもの」、そしてR&Bの影響が絶妙に演奏に滲む「ミスターデイドリーマー」の3曲で、巷間言われている“炭酸系”という一言には収まりきらない曲作りの広がりをアピール。そして、“神のような人たちしか立てないと思っていたステージに立つことができました!しかも、ワンマンで!”とフジムラがこの日の歓びを語ってからは、さらにシーケンスを大胆に使って、バンド・サウンドだけにこだわらない挑戦を印象づけたのだが、「最終電車」を演奏し終えたところでシーケンスの音が出ないという機材トラブルが発生。

しかし、“次の曲は大事な曲なので、ちゃんと(した形で)聴いてほしいから時間をください。(機材を)直します!”と知(Gt)が言い、フジムラと細川がスタッフとともに機材を直している間、観客のリクエストに応え、Yurinが知のアコースティック・ギターをバックに、この日、セットリストに入っていなかった「群青」を歌ってつなぐという予定外の展開に!! 観客は拍手喝采。メンバーたちは大いに冷や汗をかいたに違いないが、結果、バンドにとっても観客にとっても、いい思い出になったんじゃないか。

そして、機材の復旧後、バンドが演奏したのは、オーケストラルにアレンジした壮大なバラード「dialogue」。シーケンスで加えたストリングスに負けないくらい熱の入った4人の演奏は、確実にこの日のハイライトの1つだったと思う。

“いろいろなことを思って、考えて、(みんなは)来ていると思います。それを全部、我々にぶつけて欲しい。サイダーガール、最後まで我々らしく駆け抜けていきます。行こうぜ!”

Yurinの言葉どおり、知が耳に残るリフを閃かせながら、バンドはラストスパートをかけるように轟音ギター・ロックの醍醐味を味わわせるアップテンポの曲をたたみかけ(「モラトリアムさん」でYurinは客席にダイヴした!)、『SODA POP FANCLUB 2』の1曲目の「アクセル」で始まったライヴは、『SODA POP FANCLUB 2』のラスト・ナンバー「約束」のシンガロングで幕を閉じた。『SODA POP FANCLUB 2』における成長を見せることを軸にライヴを作り上げるというセットリストのプロットを考えれば、そこで終わっても大満足だっただろう。しかし、バンドはこの日のソールドアウトを実現させてくれた観客のアンコールに応え、『SODA POP FANCLUB 2』ではアコギ1本だった演奏にフジムラが奏でる鍵盤ハーモニカの音色を加えた「スパイス」を含む計4曲を、さらに披露した。

セットリストに入れられない曲があったから、曲数を多めに演奏したそうだが、最後の最後を飾ったのはインディーズ時代から歌い続けているサイダーガールのライヴには欠かせない「NO.2」。観客の多くがエモーショナルで、どこかノスタルジックなこの曲をバンドと一緒に歌うことを楽しみにライヴに足を運んでいる――そんなことを思わせるほど、大きなシンガロングの声が会場中に響き、バンドが飾った有終の美をダメ押しで印象づけたのだった。

アクセル
メッセンジャー
エバーグリーン
パレット
ぜったいぜつめい
サテライト
スーパーノヴァ
化物
なまけもの
ミスターデイドリーマー
ドラマチック
橙の行方
最終電車
群青(弾き語り)
dialogue
オーバードライブ
しょうがないよな
モラトリアムさん
約束
En.1 スパイス
En.2 メランコリー
En.3 リバーシブル
En.4 NO.2

(Photo:山川哲矢 Text:山口智男)