ENDRECHERI堂本剛や高橋ユウらが作り出した「ミラコレ2019AW」の魅惑的な世界とは?

株式会社イースマイルが、「大山式 Milano collection model by ATSUSHI NAKASHIMA」のPRで、世界から注目の日本人デザイナーATSUSHI NAKASHIMAのショーのスポンサーシップを行ない、堂本剛、高橋ユウとのコラボレーションを繰り広げた。ターゲット層と同年齢のモデルで女優の高橋ユウがATSUSHI NAKASHIMAの衣装を身にまとい、堂本剛のENDRECHERI(エンドリケリー)の楽曲にあわせてランウェイを歩いた。加えて、メインの壁には堂本剛が描いた龍の墨絵が飾られ、さまざまな国籍のスーパーモデルが、幻想的な世界観のなか、10分ほどのランウェイを駆け抜けた。同PRは「日程的にもミラノコレクションのラストをしめくくる意味合いがあり、ミラノコレクションの目玉となったのでは?」と関係者らは語った。

そのネオ・ジャパネスクでありながら、ファッションとしてのLGBTQ時代の幕開け、サスティナビリティの本格化を表現したショーは、世界中から集まったファッション関係者に圧倒的な存在感を示した。シャネルなどを手がけたモード界の皇帝と呼ばれるカール・ラガーフェルド(カール・オットー・ラガーフェルド)が、ミラコレが始まる前日の2月19日に死去したこともあり、皇帝との別れを惜しむ追悼の気分と新しい時代の幕開けの雰囲気が、会場に溢れていた。同コレクションは、世界の4大ファッションコレクション(ニューヨーク、パリ、ロンドン)のひとつ。ファッション界ではファッションウィークと呼ばれ、各ブランドが次のシーズンに向けて新作を発表する場となっている。

ATSUSHI NAKASHIMAというファッション表現

ATSUSHI NAKASHIMAは、知る人ぞ知る時代の寵児。経歴もさることながら、自分の世界観に巻き込む力がずば抜けている。今回のコラボレーションの仕掛け人でもある。オーディション会場やフィッティングで見せた丁寧さは、スタッフにも伝わり、彼の世界観を支える原動力になっている。「世界をまたにかけている」というより、等身大のコミュニケーションで、スーパーモデルやスタッフたちとゆるやかにつながっている様子が舞台裏から垣間見えた。

かつてコム・デ・ギャルソンやYohji Yamamoto、KENZOなど、日本人デザイナーがヨーロッパで切り開いてきた場所に、ユニクロやMUJIなど大衆的なブランドまでもが浸透してきた。その中で、どのカテゴリーにもあてはまらない混沌を表現するATSUSHI NAKASHIMAは、次世代のデザイナーであることは間違いない。

経歴
2004年    渡仏 ジャンポールゴルチェ アシスタントデザイナー就任
2009年    ジャンポールゴルチェ ディフュージョンライン ヘッドデザイナー就任
2011年    帰国 自身のブランド「ATSUSHI NAKASHIMA」をスタート
2012年    東京コレクションにてデビューコレクションを発表
2012年   第3回DHL デザイナーアワード受賞
2013年    ジルサンダーネイビー バッグライン ディレクター就任
2015年    海外デザイナー支援DHL Exported にて日本人初受賞
2015年  ミラノコレクション公式スケジュールにてコレクションを発表

【大山式ミラノコレクションモデル by ATSUSHI NAKASHIMA】 コラボレーション篇では、インタビューの模様が収められている。

https://www.youtube.com/watch?v=807Vhj3oPjg

堂本剛とのコラボレーションの妙

KinKiKids(キンキキッズ)の堂本剛と言えば、誰もが知るアイドルとしてデビューをしてから20年ほどたった。一方、昨今の個人的な音楽活動と言われるENDRECHERI(エンドリケリー)は、すこぶる評価が高く、ミラノコレクションでは、彼の異才が遺憾なく発揮されていた。前回は楽曲提供だけであったが、今回はスタイリングまでコラボレーションを行なうなど、彼もまたジャンルを問わない活躍だ。

【大山式】ミラノコレクションモデル「ミラノコレクション2019AW篇」 のなかに、墨絵の動画が一瞬に挟み込まれている。

https://www.youtube.com/watch?v=9MrNUUVNYCI

歴史ある場所と建築の中で、ENDRECHERI(エンドリケリー)の幻想的な楽曲が鳴り響いた。臨場感とイメージの喚起力は、圧巻であり、彼の才能を確信しないひとは誰もいないだろう。芸能と芸術をハイブリッドに体現した人物として、今後のさらなる活躍が期待される。

高橋ユウがショーで果たした役割とは?

 日本人モデルとしてミラコレデビューを飾った高橋ユウ。スーパーモデルたちと対等にコミュニケーションをとっていく物怖じしない態度、そして繊細な優しい受け答え、そのバランス感覚は清々しいほどだった。国籍も言語もバラバラなモデルたちと、同じ時間を過ごせば過ごすほど、親密になっていく様子が見受けられた。

 【大山式ミラノコレクションモデル by ATSUSHI NAKASHIMA】高橋ユウ 美しいはつくれる篇 ロングでは、ミラコレの舞台裏が収められている。

https://www.youtube.com/watch?v=eHH0y0-1-oA

「ファッションショーを成功させる」という約束した同志たちは、ショーのランウェイが終わると、その会場外の扉の向こうで、互いに声を掛け合い、抱き合うなどして喜びをわかちあっていた。そこには、もはや日本人モデルとしての高橋ユウではなく、ATSUSHI NAKASHIMAの世界観の表現者としての顔をしていた。

世界の美の基準は、多様性かつサスティナビリティな方向に?ミラコレという祭典とは。

ミラノの街角は、ファッションウィークに沸き立っていた。ショーウインドウは工夫をこらし、世界のファッション誌編集者、バイヤー、プレス、セレブ、インターネット上で強い影響力を持つインフルエンサーなどがブランド街から路地までも闊歩(かっぽ)する。ミラノという都市をあげての祭典に人びとは華やぐ。世界の最も美しいモデルたちが集結してくるせいだろうか。

イタリアは、常にある種のブランドの発祥地となってきた。特に、ミラノはファッション都市でもあり「ミラノコレクションは女性のプレタポルテ」と呼ばれている。ファッション素材見本市が行なわれ、最新のテキスタイルと服飾付属品を扱う。今年の見本市では「サステイナブルなイノベーション」がテーマになっている。今後、ファッションの下支えとなると見ている「生産プロセスの管理と運営におけるサスティナビリティ(持続可能性)」まで言及している。

ミラノコレクション2019AW現地レポートを終えて

ATSUSHI NAKASHIMA、ENDRECHERI(エンドリケリー)堂本剛、高橋ユウの「美のコラボレーション」は、ミラノの風景のなかで立ち上がった。そのネオ・ジャポネスクが妖艶に輝く世界は、まだ肌寒いミラノに一足早く春を告げたようだった。

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