ナノテクノロジー研究増加率 共同研究が単独研究よりも高い傾向が明らかに

2019年3月26日
早稲田大学

ナノテクノロジー研究増加率 共同研究が単独研究よりも高い傾向が明らかに
欧州における26年間の特許申請データを分析

発表のポイント

●欧州の特許申請データを分析した結果、民間企業と公共機関とのナノテクノロジーに関する共同研究が増加傾向にあることが判明
●共同研究(民間企業と公共機関による)による特許はより広い地域で特許申請が行われており内部評価が高いことを示唆している
●(民間企業と公共機関による)共同研究がおこなわれやすい環境を整備することが、ナノテクノロジー技術の発展を強化することに寄与する

早稲田大学高等研究所のラファエル・ジング(Raphael Zingg)講師とマックス・プランク研究所(ドイツ)のマリウス・フィッシャー(Marius Fischer)博士は、1991年から2016年までの欧州における特許申請データを分析した結果、民間企業と公共機関とのナノテクノロジーに関する共同研究の増加率が、個々の組織による単独研究の増加率よりも高い傾向にあると発表しました。

ナノテクノロジー分野においては、公共機関が多くの特許を所有しているため、民間企業への技術移転を行うことが難しく、ナノテクノロジー製品の商品化の大きな障壁となってきました。その打開策として、民間企業と公共機関による共同研究が挙げられていました。

民間企業と公共機関との共同研究を行う企業や機関が全体的に増えることで、技術移転の改善、その資産、知見、技術が蓄積されることが期待されます。さらに、アメリカ、フランス、日本などの国はすでに企業と機関の共同研究自体が多く、これによりナノエネルギーに関する研究開発の枠組みやネットワークを構築しており、特許申請も多いことが明らかとなりました。

本研究成果は、2019年2月22日に学術誌『Nano Technology』に掲載されました。

【論文情報】
雑誌名:Nano Technology
論文名:The rise of private-public collaboration in nanotechnology
執筆者名(所属機関名):Raphael Zingg (早稲田大学)、Marius Fischer(マックス・プランク研究所)
DOI: 10.1016/j.nantod.2019.01.002

【内容に関するお問い合わせ先】
早稲田大学高等研究所講師 ラファエル・ジング
E-mail:rzingg@aoni.waseda.jp
※お問合せに際しては英語でお願いいたします。