南部町のいきものたち (144)

鳥取県南部町 広報なんぶ2019年3月号

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◆ヤブカンゾウ

○桜が咲く前に!
毎年、この時期に楽しみにしている味があります。ユリ科のヤブカンゾウです。初めての出会いは、直売所の店内でした。南部町産の文字に「こんな山菜があるんだ!」と早速連れて帰って天ぷらに。アクは殆どなくとても美味しく味わえました。それから新芽がどんなところにあるかを気にして歩いてみたら、河川敷や畑の脇、田んぼのそばなどあちらこちらで生えているのが分かりました。しかし、超期間限定の山菜で、法勝寺近隣では3月の20日台前半あたり、それを過ぎると葉が大きくなり過ぎて硬くなってしまいます。桜が咲いたら完全にシーズンは終了です。

○元々は中国から?
ヤブカンゾウは、ヒガンバナと同じく古い時代に中国からやってきた史前帰化植物とされています。万葉集では「萱草(わすれぐさ)」という名で紹介され、北海道から九州まで自生する野草です。夏にオレンジ色で八重咲きの大きな花を開きますが、こんなに新芽がぎっしり生えていても群生して咲いているのは見たことがありません。密生して芽生えると互いに成長を邪魔し合い、栄養と光の奪い合いで育ちにくいのではという説明を聞いたことがあります。ヤブカンゾウを摘む時は、大きく伸びている数株を残して、その周りの丈の低いものを採取すると次世代の開花に繋がりやすくなるかもしれません。

○食べ過ぎは注意!
人によって差があるものですが、ワラビやゼンマイなど多くの山菜は食べ過ぎると下痢や腹痛を起こすことがあります。平成29年の早春、我が家でヤブカンゾウをナムルやお浸し、味噌汁の具など多くの料理に使ってたっぷり味わったら、家族4人ともお腹がゆるゆるになってしまいました。やはり程々の量で楽しむほうがいいですね。早春だけに愛でられる里山の味、今年も探しに行こうと思います。

自然観察指導員 桐原真希