修学旅行先に広島も 長崎市教委 小学校、平和教育で

 長崎市教委は新年度、市立小学校の修学旅行を平和学習と位置付け、広島へ派遣する事業に着手する。平和教育再編の一環で、被爆地の交流を通じて児童の平和の発信力を育む狙い。2019年度から3年間は年度ごとに1校を試験的に派遣、成果を検証しながら各校への普及を目指す。

 長崎市教委によると、市立小学校の修学旅行先は旅行限度額(2万5200円)の兼ね合いから熊本や福岡などの九州がほとんどで、これまでに広島へ行った学校はないという。

 長崎市教委は平和教育の再編で、他人の意見を尊重しながら主体的に考えを発信する児童生徒の育成を図っている。その一環として、まず2019年度に山里小6年生を派遣し、広島原爆の爆心地に近い広島市立幟町小の児童との意見交換やフィールドワークを通じて発信力向上を促す。年度ごとに派遣校を替え、長崎市教委が旅行限度額の超過分を負担する。

 長崎市教委は「全校で定着させるのは難しいが、児童が長崎の外に出て何を発信できるかを検証し、将来的に修学旅行先の選択肢に広島が加わるようになれば」としている。2019年度分の派遣費72万円を一般会計当初予算に計上している。

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