放課後児童クラブ、土砂災害回避で移転へ 三浦

裏山の急傾斜地などが土砂災害警戒区域に指定されている放課後児童クラブ「ひまわり」 =三浦市初声町下宮田

 放課後児童クラブ(学童保育)「ひまわり」(神奈川県三浦市初声町下宮田)が今秋にも、近くの市立初声小学校内に移転する。建物が老朽化している上、裏山の急傾斜地などが県の土砂災害警戒区域に指定されており、子どもを預ける保護者らが長年、市に働き掛けてきた。念願の移転に、保護者らは「これで、子どもの安全が守れる」と胸をなで下ろしている。

 クラブが2002年4月から利用する平屋建ての建物は老朽化し、一部使用できない部屋もある。

 延べ床面積は67.52平方メートル。クラブには現在、初声小の1~6年生40人が在籍しており、児童1人当たり1.65平方メートル以上を確保するとする国の基準を満たしていない。

 さらに東日本大震災が起きた翌年、県は裏山の急傾斜地エリアを土砂災害警戒区域に指定した。大雨や台風で土砂崩れが起きる恐れがあり、クラブは子どもたちを主に初声市民センターに避難させていた。

 子どもたちの安全を確保するため、保護者らは05年ごろから移転に向けて取り組んできたが、同小に利用できる教室がなく、周辺にも適した物件が見当たらなかった。

 状況を打破するため、市放課後児童クラブ連絡協議会は17年9月、市議会に陳情書を提出。都市厚生常任委員会で、「近年、豪雨をもたらす天候の増加で、急傾斜は不安で恐ろしい現実となってきた。点検の様子を見ている子どもたちは、雨が降ると『大丈夫?』と聞いてくる」と窮状を直接、訴えた。

 これらを踏まえ、市は会議室や算数教室で利用してきた同小4階の2部屋を確保。クラブの保護者会も市からの提案を受け、決定した。市は19年度一般会計当初予算に、移転関連費として約800万円を計上した。

 保護者で移転準備委員会の伊藤亜矢子委員長(33)は「一日でも早く移りたかった。子どもの安全が第一なので、うれしい」と安堵(あんど)。指導員の伊集喜代子さん(54)は「大雨による災害リスクが軽減されるので、保育に専念できる」と喜んだ。

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