神奈川県横須賀市平成町のショッピングセンター(SC)から、海を挟んで臨む東京湾の無人島・猿島まで、ドローンを使って商品を運ぶ実証実験が今夏、行われる。スマートフォンのアプリで注文すれば、SCを飛び立ったドローンが海を越え、島内のバーベキュー場まで食材などを届けてくれる。
市や地元の観光事業者によると、ネット通販大手が実施。スマートモビリティ(賢い移動運搬手段)の開発推進の一環として、市は実験のフィールドを今夏に限って提供する。
実験では、ドローン機能の有用性や課題を検証し、消費者が注文した商品をドローンが配送する新たな時代の物流インフラ整備に生かしたい考えだ。
SCと島との距離は約1.5キロ。双方の間には海面しかなく、市街地上空より安全に実験できる。また島内にはドローンが発着するポートも既に整備されており、実験期間中は1日複数回、配送する見通し。
戦時中、旧海軍の要塞(ようさい)だった猿島は三笠桟橋(同市小川町)から10分ほど乗船すれば上陸でき、バーベキューや歴史遺産散策、海水浴などが楽しめる。市管理の猿島公園の年間入園者数は右肩上がりで、2018年度は初めて20万人を達成した。
バーベキュー客は通常、具材を持参して島に渡っており、地元の観光事業者は「ドローンが海を越えて注文品を届けてくれる様子は、バーベキュー場からも楽しい眺めになりそう」と期待している。