【MLB】イチローは「球界史上最も重要な選手の一人」 NY紙の辛口記者が最大級の賛辞

現役を引退したマリナーズ・イチロー【写真:Getty Images】

「ニューヨーク・ポスト」の記者があらためて絶賛「イチローの偉大さの定義」

 21日のアスレチックス戦(東京ドーム)を最後に現役を引退したマリナーズのイチロー外野手を称える声が相次いでいる。辛口のコラムニストとして知られながら、背番号51への敬意溢れる記事を何度も書いていた米紙「ニューヨーク・ポスト」のジョエル・シャーマン記者は「MLB挑戦に全てをかけたことで決まったイチローの偉大さの定義」とのタイトルでコラムを執筆。「球界史上最も重要な選手の一人」と最大級の賛辞を送っている。

 シャーマン記者はコラムの中で、誰よりも早く、最初に何かを行うことは「最も難しい」と言及。その上で「イチロー・スズキはメジャー球団と契約を結んだ最初の日本人野手であった」と紹介し、「しかし、彼は単なる普通の選手ではなかった。単なる偉大な選手でもなかった。彼は(母国では)象徴であり、崇拝される存在であり、英雄でもある」と絶賛。オリックスでは登録名を変えてからブレークし、海を渡ったが、「イチロー」は「ファーストネームだけで成功を表す」存在だと表現している。

 野茂英雄氏が「パイオニア」として切り拓いたメジャーへの道。日本人野手への評価を変えたのがイチローだった。

「彼は先駆者であり、素晴らしかった。そして、その後の全ての日本人野手たちがMLBに挑戦しやすくなったのは、彼のお陰である」

 メジャー1年目のMVP&新人王のダブル受賞、10年連続200安打&オールスター選出&ゴールドグラブ受賞、2004年のメジャー新記録262安打などなど……。日本人野手への半信半疑の見方を変えることだけにとどまらず、メジャーを席巻した活躍はまさに爽快だった。

日米通算4367安打は「情熱、献身、技術から生まれた」

 シャーマン記者は「彼は球界史上最も重要な選手の一人である。その理由は、彼が一番最初(にMLBに挑戦した日本人野手)だからだ。そして、彼が見事に活躍してみせたからだ。彼は(NPBを含まない)メジャーリーガー単体だけでも、殿堂入りに値するキャリアを築いた」と称賛の言葉を重ね、イチローについて「溢れんばかりの才能を持ち、独創的」とも表現している。

 さらに「マリナーズで最初にプレーしていた時の彼の走塁が、私は本当に大好きだった。まさに魔法の様だった。打球を放った彼が、気づいたら二塁や三塁ベース上に立っている。どうやってそんなことが起きたのだろうか?」と溢れんばかりの“イチロー愛”を綴る。「ニューヨーク・ポスト」紙の記者であるため、ヤンキースを中心に取材している同記者は、2012年途中に移籍してきた日本人野手がすでにピークを過ぎていたとしながら、「それでも私は彼の記事を書くことが好きだった」と告白。そして、“世界記録”の日米通算4367安打は「情熱、献身、技術から生まれた」と最後まで絶賛の言葉を並べている。

 唯一無二のスタイルで多くの人を虜にしてきたイチロー。シャーマン記者もメジャー19年間のプレーで心を奪われた一人のようだ。(Full-Count編集部)

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