東京メトロ中期計画発表、新型車両17000系、18000系導入も

東京メトロは2019年3月26日、2019年度~2021年度までの中期経営計画「東京メトロプラン2021」を策定したことを発表しました。経営目標値は連結キャッシュフロー4000億円、連結ROA5.0%、連結純有利子負債/EBITDA倍率4.3倍となっています。

この3か年の計画期間においては「安心の提供」「持続的な成長の実現」「東京の魅力・活力の共創」の3つをキーワードとする各種施策を推進し、持続的な企業価値の向上を目指すことが明言されています。本記事では今回発表された各種施策の概要に触れていきます。

安心の提供

設備投資額としては前回の3か年計画に引き続き高水準となる4900億円を投じ、災害対策や安全対策、輸送改善を進めていきます。

自然災害対策としては地震に備えた高架橋柱補強を引き続き行う予定です。他にも駅出入り口や坑口(トンネルの入り口部分)、地上駅や変電所の浸水対策、大規模停電対策としてのバッテリーの用意、非常時の体制整備といった形でハード・ソフト両面から備えを強化します。

駅ホームの安全性の向上のため、2018年度末までは整備率67%だったホームドアの整備を進め、2021年度末までには丸ノ内線・有楽町線・南北線・副都心線・銀座線・千代田線の整備を完了予定、全体では整備率89%を目標としています。

車内の快適性や安全性、省エネルギー性の向上を図るため、2020年度より有楽町線・副都心線に17000系を、2021年度より半蔵門線に18000系を導入予定です。すでに導入の始まっている丸ノ内線の2000系は2023年度、日比谷線の13000系は2020年度にそれぞれ導入完了予定となっています。

新型車両は車内空調設備の高性能化、座席幅の拡大、車内フリースペースの増設など、快適性の向上が特徴。車内セキュリティカメラや脱線検知器等の設置搭載も予定されており、更なる安全性の確保に努めている模様です。

他にもセキュリティカメラの駅構内への増設やサイバーセキュリティ強化、東西線を筆頭とする各路線の混雑・遅延対策、バリアフリー設備や訪日外国人への案内の充実など、より安全性・利便性の高い輸送サービスを目指す取り組みが列記されています。

持続的な成長の実現

東京メトロは持続的な成長に向けて、多様なニーズを捉えるためのマーケティングやキャッシュレス決済の推進を掲げています。特に目を引くのはQRコードを利用したオンライン完結型・キャッシュレス化への対応です。

スマートフォン利用者が「Tokyo Subway Ticket」付きの旅行プランの予約・決済をオンライン上で行うと、QRコードが発行され、この画面を発券機にかざすことで乗車券を発券する――財布を取り出す必要のない旅行スタイルを可能にする、そんなシステムが2019年度より開始予定です。

その他にも、訪日外国人や国内旅行者・シニアへ向けた企画乗車券を発売することで増加する旅行ニーズに応え、関連する不動産・流通・広告情報通信・国際協力など多岐にわたる事業展開を行うことで収益力の向上に取り組むことが明示されています。

東京の魅力・活力の共創

東京メトロは沿線地域の魅力を掘り起こし、地域活性化に向けた各種組織体との連携を強化します。

体験型トークイベント「東京メトロ×AND STORY」では、沿線全179駅でその街や人の魅力を語る「旅するトーク」を開催、参加者や体験提供者をつなぐシェアリングサイトの運営を通じて東京の魅力を発信します。周辺地域の自治体や商店街とのつながりにも力を入れ、地域活性化に貢献します。

2020年度には日比谷線虎ノ門ヒルズの駅整備、銀座線虎ノ門駅周辺開発と連携した駅改良を開始する予定です。国際的なビジネス・交流拠点となる虎ノ門のみならず、都市開発事業者との連携を強化し各都市の課題解決と活性化に寄与します。

また、東京メトロの保有する経営資源と外部のアイデア・技術を組み合わせた価値創出の推進、新たなモビリティサービスの実現に向けた取り組みも進めていく予定です。

2019年度内の取り組みについて

また、同日発表された2019年度(第16期)事業計画では、同年度内のより詳細な計画が記載されています。気になる方は東京メトロ事業計画をチェックしてみてくださいね。

東京メトロ2019年度事業計画
https://www.tokyometro.jp/corporate/profile/scheme/index.html

東京メトロプラン2021
https://www.tokyometro.jp/corporate/profile/plan/index.html

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