[ココロ・カラダ不思議つながり]59 性を学ぶってエロいこと?

Q.性を学ぶってエロいこと?
 
今日の質問は、

「徳永さんはなぜ思春期保健相談士になったんですか? 変な言葉もあると思うのに変態と思われませんか?」

「徳永さんも昔はエロかったんですか?」

です。中学2年生からです。

A.自分を知る勉強 堂々と続けて
 
私に興味を持ってくれてありがとう。「徳永さんも」とあるのは、あなたが学校で「変態」「エロい」と言われているのかな?

私は、人や物を傷つけたりしない限り、どんなことでも興味を持つのは良いことだと思っています。一生懸命調べて新しいことが分かると、幸せな気持ちになりますよね。それって、日々を豊かにするし、自分の成長にもつながるし、素敵なことです。

興味を持つのがロボットや宇宙なら良いけれど、身体や性ならダメということはありません。だって、自分の身体なんだもの。仕組みや働きを知ることでもっと大切にできるようになり、身体を健康に保つことにつながります。性についてだって、命の始まりや成長を知ることで、自分のルーツを理解して命のかけがえのなさを実感することもあります。そして、誰とどんな関係を持ちたいか、子どもを持つか持たないかなど、これからの人生を深く考えるきっかけになることもあります。ただし、正しい情報源で学んでね。

「性=性行為」とエロいイメージを強く持つことや、「性教育は、寝た子を起こすからダメ」という思い込みは、おとなの中にもあります。でも、国連の教育に関する専門機関のユネスコは、性教育をセクシュアリティ教育と呼び、子どもに必要で5歳から計画的に行う方が良いと言っています。このセクシュアリティとは、「人間の生涯にわたる基本的な要素であり、それは、身体的、心理的、精神的、社会的、経済的、政治的、文化的な側面を持つ」と広く定義されています。

ユネスコはさらに、「子どもたちがインターネットなどを通じて間違った情報を与えられ、被害にも巻き込まれている現状に、子どもたちを放り出したままで良いのか」とおとなに問いかけています。また、「人権などを基礎として、分かりやすく詳しい、科学的な根拠に基づいたセクシュアリティ教育」をするように勧めています。世界の国々が取り組みやすいように具体的な手引も2009年と2018年に出しました。遅れていた東アジアの国々でも、日本以外では、この手引を使って性教育が進んでいるのです。

私はカナダの看護師メグ・ヒックリングさんから「性教育は子どもたちを守る」と教えてもらいました。勉強をして思春期保健相談士の資格をとって、性教育の活動を始めました。2016年の日本のおとなへの調査では、「15歳までに知るべき」と答えたのは「性交」についてが71%、「避妊法」が73.6%で、多くの人がきちんと子どもに教えた方が良いと思っています。

でも、自分が習っていないことを教えるのは難しいですよね。だから、おとなもこの連載や本を読んだり、講演会などで勉強できたりしたらいいなと思っています。おとなの意識が変われば、子どもたちが身体や性についてしっかり学べる社会になっていきます。応援していますよ。堂々と勉強を続けてください。

徳永桂子(とくなが・けいこ) 思春期保健相談士。
 心が生きると書く「性」、心が生きて交わる・お互いの心を生かして交わると書く「性交」の漢字の通り、子どもたちがありのままの自分を肯定できるように。豊かなパートナーシップを築けるように。みんなで明るく肯定的に性について語れたらいいなと思って活動中。
 新報小中学生新聞に「ココロ・カラダ不思議つながり」を連載中。著書に「からだノート~中学生の相談箱」(単著)「LGBTなんでも聞いてみよう~中・高生が知りたいホントのところ」(共著)など。
 
~ この連載が本になりました ~
ココロ・カラダ不思議つながり
 徳永桂子・著/上原明子・イラスト
A5変型判 128頁(オールカラー)

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