[ココロ・カラダ不思議つながり]61 エイズについて詳しく知りたい!

Q.エイズについて詳しく知りたい!
 
今日の質問は、

「エイズについて勉強して、日常生活ではうつらないと分かって安心しました。それで、どうしたら感染するのかなど、エイズについてもっと具体的に詳しく教えてください」

です。

中学3年生からです。

 
A.発症前に治療を 検査が大切
 
AIDSという病名は、A=後天性、I=免疫、D=不全、S=症候群の頭文字です。

HIV(H=人、I=免疫不全、V=ウィルス)が身体の中に入ると、免疫という身体を病気から守る仕組みが徐々に壊されます。治療をしないでいると免疫力が低下して、さまざまな病気にかかりやすくなり、エイズを発症します。

治療しない場合、数年~10年くらいで発症するといわれていますが、個人差があり、最近は進行の速い人もいます。

血液検査で分かる
発症するまでは特に症状がないので、血液検査でしか感染が分かりません。先進国と言われている国の中で日本は、エイズを発症してから分かる人がとても多いのが特徴です(感染が分かった人の約3割)。検査を受ける人が極端に少なくて、「まさか自分が…」とか「きっと自分は大丈夫」とエイズを他人事に思っている人が多いということです。日本では若い人を中心に感染が分かる人が増えています(1日に約4人、2017年現在)。

沖縄は10万人あたりの割合で、HIV感染が分かる人が全国2位、エイズを発症して分かる人が全国3位です。

私はHIVと人権・情報センターというエイズの団体で活動しています。国連には「最大のワクチンは教育である」という合言葉があります。詳しく知りたいというあなたの質問は本当にうれしいです。

広めよう「U=U」
HIVが多く含まれている体液は限られていて、それが別の人の粘膜に直接つくと感染の可能性があります。とても感染力が弱いウィルスなので、空気や水に触れるとすぐに感染力がなくなります。そのため、日常生活では感染しないし、コンドームを正しく使えばほぼ防ぐことができます。

血液検査は無料で、名前も保険証も必要ありません。どこでいつできるかは、インターネットの「HIV検査・相談マップ」で調べられます。そこからのリンクで調べられるHIVの情報は正しいです。最近ネットでは、人を不安にさせるウソを書くサイトが増えています。最新の正しい情報は、エイズ電話相談で確かめると安心です。

感染が分かったら、治療を続ければ元々の寿命まで生きることができます。さらに、最新の研究で、薬を飲み続ければコンドームを使わない性行為でも人にうつさないことが分かりました。

世界ではU=Uというキャンペーンが始まり、日本でも広めようとしています。U=Uの意味は、Undetectable(治療でウィルスが検出されないくらい少なくなっている)=Untransmittable(感染させない)です。

もちろん、感染力が強い性感染症もあるので、コンドームを必ず使うことは大切です。

でも、治療がここまで進歩していること、エイズが死の病ではなくなったことを知ってもらいたいです。日本は保険制度や福祉制度も整っています。だからこそ、検査で自分の健康状態を早く知り、病院に行くことが大切です。

徳永桂子(とくなが・けいこ) 思春期保健相談士。
 心が生きると書く「性」、心が生きて交わる・お互いの心を生かして交わると書く「性交」の漢字の通り、子どもたちがありのままの自分を肯定できるように。豊かなパートナーシップを築けるように。みんなで明るく肯定的に性について語れたらいいなと思って活動中。
 新報小中学生新聞に「ココロ・カラダ不思議つながり」を連載中。著書に「からだノート~中学生の相談箱」(単著)「LGBTなんでも聞いてみよう~中・高生が知りたいホントのところ」(共著)など。
 
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ココロ・カラダ不思議つながり
 徳永桂子・著/上原明子・イラスト
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