厚木市、災害備蓄品に液体ミルク 国内解禁受け

災害発生時などの備蓄品として導入した液体ミルクを掲げる厚木市の小林市長(左)

 神奈川県厚木市は28日、災害発生時などの備蓄品として乳児用液体ミルクを導入したと発表した。母乳の代わりになる液体ミルクは水や電気がなくとも授乳できることから備蓄品に加える動きが全国に広がっているが、県内自治体では同市が初めてとみられる。小林常良市長は同日の会見で「(子育て中の)お父さん、お母さんの安心感の確保につなげたい」と語った。

 液体ミルクは、粉ミルクのように湯で溶かす必要がなく、常温保存が可能で、開封したらそのまま哺乳瓶に移すだけで乳児に飲ませることができる。欧州で普及しており、2016年の熊本地震で海外製品が救援物資として送られ、注目された。

 国内では規格基準がなく流通していなかったが、18年8月に厚生労働省の省令が改正され、国内での製造・販売が解禁。19年3月に販売が始まった。

 市が導入したのは、菓子メーカー大手で粉ミルクの製造も手掛ける江崎グリコ(大阪市)の製品。紙パック1本の容量は125ミリリットルで、1箱12本入りを38箱(456本)を購入した。

 市によると、費用は約9万8千円。広域避難場所の「ぼうさいの丘公園」(温水)、市役所前に位置する「厚木中央公園」(寿町)、官民複合施設「アミューあつぎ」(中町)の3カ所で備蓄する。

 液体ミルクは粉ミルクと比べて賞味期限が未開封で6カ月と短いことなどから、備蓄品としての導入に慎重な自治体もある。市は賞味期限が近づいた液体ミルクについて、市内の公立保育所で給食を作る際に牛乳に代わる材料などとして有効活用する考えで、適時、新品と入れ替えていくとしている。

 小林市長は「国内メーカーが(厚労省が定めた規格基準で)製造されており、安全性の担保ができたと思う」と説明。「導入後の状況を見ながら次の段階にいきたい」と述べ、今後の拡充も示唆した。

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