いじめ再調査「必要なし」 横浜市立小いじめ問題で市長

横浜市役所

 2015年度に横浜市立小学校で当時3年生だった女子児童が同級生4人からいじめを受けた問題で、市は28日、保護者の求めていた再調査について、林文子市長が行わないと判断した、と発表した。再調査の必要性を協議し、不要と結論付けた諮問機関の答申に基づいた。

 市教育委員会は女児の事案をいじめ防止対策推進法に基づく重大事態と認定し、昨年9月に「市いじめ問題専門委員会」の報告書を公表した。

 これに対し、女児の保護者は4人への聞き取りが行われなかった点などを問題視し、市に再調査を要求。市は大学教授や弁護士らでつくる「市いじめ問題調査委員会」を市長部局に設け、その必要性を諮問した。

 調査委は、市教委の担当者が4人の保護者に電話で2度、聞き取りを要請したと説明し、「任意の協力を求めるものとしては適応な回数だった」と指摘。またいじめから1年半以上たってから専門委が開かれ、児童の記憶が薄れていることから、専門委が4人にアンケートを行わなかったのは「不適切ではない」とした。その上で「新たな事実が判明することは期待できない」とし、再調査は不要との結論を出した。

 一方で、相手方の了承が得られずに聞き取りができなかったり、警察や児童相談所から情報を得るのが難しかったりする場合、「聴取に応じるよう努力する義務を規定するなどの措置が全国的に講じられるべき」との意見も付けた。

 市長は「引き続き子どもを育てる環境をしっかり整え、いじめの未然防止、早期対応に取り組む」とのコメントを出した。

 報告書などによると、女児は同級生の男女4人から暴言を吐かれたり、髪を切るよう強要されたりするいじめを受けた。年間欠席日数は約100日に達し、転校した。

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