女性の政治参画は進む? 数字で見る地方政治と女性議員数

「衆議院、参議院及び地方議会の選挙において、男女の候補者の数ができる限り均等となることを目指すこと」などを基本原則とする候補者男女均等法が施行されてから初めて迎える統一地方選挙ということもあり、日々、女性候補者による様々な活動が報じられています。

候補者男女均等法のリーフレットでは、「町村議会の3割以上で女性議員ゼロ」とも報告されていましたが、その状況は今後変わっていくことになるのでしょうか。

地方政治における女性議員の状況について確認してみましょう。

地方政治における女性議員数の推移

総務省の調査によると2017年末の時点で女性の地方議会議員数は4,211名(都道府県議会議員264名、市区町村議会議員3,947名)で、地方議会議員に占める割合は12.9%となっています。
女性の地方議会議員数の推移を2000年代に統一地方選挙のあった年のデータでまとめたのが図表1です。

図表1_女性の地方議会議員数の推移

地方議会議員に占める女性議員の割合が、2003年7.9%から2015年12.4%と上昇傾向にあることがわかります。なお、女性議員の絶対数は2003年4.670人→2015年4,127人と減少していますが、この背景には2000年代に進んだ市町村合併や議員定数削減によって地方議会議員の定数が大幅に減少(2003年59,461人→2015年33,165人)していることがあります。

また、女性の首長の数も増加傾向にあります。2003年は17名(知事4名、市区長7名、町村長6名)でしたが、2017年末には30名(知事3名、市区長21名、町長6名)となっています。

国際的な水準との差は?

日本の国会(衆議院)における女性議員の割合は1月1日時点で10.2%(463名中47名)であり、国際調査では高い方から数えて165位と低い水準にあることが知られています。
仮に同調査に、日本の地方議会における女性議員の割合(12.9%)を位置付けると、148位に相当する水準となります。

地方議会の方が女性議員の割合は高いとはいえ、国際的な水準からはだいぶ差があるようです。

統一地方選挙での女性政治家の状況は?

2000年代に実施された統一地方選挙における立候補者と当選者における女性の割合をまとめたものが図表2です。

図表2_統一地方選挙での立候補者、当選者における女性の割合

2003年には、立候補者の内女性の割合は9.4%、当選者の内女性の割合は8.6%でした。2015年には立候補者の内の女性の割合は13.9%、当選者の内の女性の割合は14.1%となるなど、ともに女性の占める割合が増加傾向にあることが確認できます。

選挙の当選しやすさと性別の関係は?

ちなみに、男性と女性では選挙への当選のしやすさに違いがあるのでしょうか?
図表3では、2015年の統一地方選挙における男性と女性の当選率(当選者数/立候補者数)と、
2000年代における統一地方選挙でのそれぞれの性別内での当選率(全体)の推移をまとめてみます。

図表3_統一地方選挙における性別の当選率

2015年の統一地方選挙における市議会議員選挙では、女性の立候補者1,258名の内1,103名が当選(当選率87.7%)するなど、当選率は女性の方が男性よりも高くなっています
同様に特別区議や町村議では女性の当選率が男性よりも高くなっており、このような傾向は2007年から続いています。

なお、性別内での当選率を比較してみると、近年、男性と女性で大きな違いは生じていません。どちらかの性別だから特別当選しやすい、などといったことはないようです

統一地方選挙の結果、まちはどうなる?

多くの地方自治体では、老朽化した公共施設の統廃合や住民サービスの従来水準からの引下げなどの負担の分かち合いを進めなければならない事態に直面することが想定されています。地方議会には、多様な民意の反映や様々な利害の調整、住民の意見の集約などが求められます。そのなかで、今よりも幅広い住民の意見を議会に反映させるための手段として、性別や職業等の点で住民の構成に近づけるべきとの主張がなされることもあります。

「候補者男女均等法」という大きな変化が実現された後に初めて迎える統一地方選挙を経て、議会の構成はどのように変わっていくのでしょうか。そして、そのことはまちの将来にどのような影響をおよぼすことになるのでしょうか

統一地方選挙の結果が注目されます。

© 選挙ドットコム株式会社