横浜市議選で戦後初の無投票当選 定数5の神奈川区 統一地方選2019

無投票が確定した定数5の横浜市議選神奈川区。5人のポスターが貼られた掲示板(手前)は30日以降、撤去されるという

 29日告示の横浜市議選で、神奈川区(定数5)では現職以外に立候補の届け出がなく、5人の無投票当選が決まった。市選挙管理委員会によると、市議選での無投票当選は戦後初。市選管は、区内の有権者の知事選や県議選(いずれも4月7日投開票)への関心が薄れることを懸念。有権者の審判を受けずに当選した候補者本人たちも「民主主義の根幹を揺るがす事態」と危機感を募らせている。(岡本 晶子)

 同区では4年前、自民党、旧民主党、公明党、共産党、維新の党、神奈川ネット、無所属の各候補8人が出馬。激しい選挙戦の末、自民2人と、民主(現在は立民)、公明、共産各1人の計5人が当選を果たした。今回届け出たのはこの5人。「どうしてこんな事態になったのか…」。市選管も戸惑いを隠せない。

 前回の同区の市議選投票率は39.39%で、市平均(42%)より低かった。それだけに市選管は、選挙戦残り1週間ほどの知事選や、市議選と同じ29日に告示された県議選の投票率低下に気をもむ。若い世代の関心を高めるため、今後集中的にウェブ広告を展開する考えだ。

 有権者や、無投票当選した当の本人たちはどう受け止めたのか。

 「政治を志す若い世代がもっと出てくれたら良かったが…」と話すのは、同区に住む男性(75)。横浜の将来を見据え、待機児童問題などに積極的に取り組んでくれそうな候補者に1票を託したいと考えていただけに、「選択肢がないのは残念」と嘆く。

 市議の一人は「選挙で実績や政策を訴えるのは重要で、無投票は民主主義の根幹に関わる問題」と憂慮し、別の市議も「地方議会の危機だ」と顔を曇らせる。

 無投票当選が確定したことで、公職選挙法により、同区の市議は30日から自身の選挙活動を行うことはできない。市選管は区内に設置した市議選用の掲示板を「速やかに撤去する」とする。

© 株式会社神奈川新聞社