消費者の66%、製品生み出す過程への関わりを望む

小売業向けに製品決定の予測プラットフォームなどを展開するMakerSightsは、最初の報告書となるState of Technology in Retail(小売業界のテクノロジーの現状)の調査結果を発表した。同報告書は、製品開発におけるテクノロジーと消費者のフィードバックの重要性を強調し、その購買行動との関係性を示している。一方、消費者がフィードバックに意欲的であることと裏腹に、製品の専門家は消費者が何を望んでいるかを理解することに未だに苦戦しているようだ。(翻訳=梅原 洋陽)

報告書は消費者からのフィードバックや、AI、予測分析、3Dプリントといった新たなテクノロジーの活用が、消費者が求めることを理解し、売り上げやブランドへの親近感を向上させる上で重要だと伝えている。

この報告書は、200人以上の小売業やブランド専門家からのアンケートと、約300人の消費者からのアンケート調査から成り立っている。

デジタル・モバイル技術の進化や、Instagram・Snapchat・Youtubeなどのソーシャルメディアの普及により、テクノロジーに精通した消費者たちは何かにアクセスし、影響を与え、リアルタイムで喜びを得ることを望んでいる。

どの世代の消費者も、好みとするブランドや小売業者からより多くのものを求めている。その結果、ブランドや小売業者は消費者が何を求め、何を必要としているかを素早く把握し対応することが、より重要となっている。

「消費者が望むブランドとのコミュニーケーションの取り方に大きな変化が起こっています。ブランドがトレンドを作り出し、消費者は欲しい物が手に入るのを待つという時代は終わりました」とMakerSightsの共同創設者であり代表のマット・フィールド氏は言う。

「今回のレポートが明確に示したように、消費者は商品を選択する際に、コラボレーションや透明性、持続的な対話を意識しています。消費者マインドや信頼・愛着などを大事にするブランドにとって、これらの要素は今後より重要になるでしょう」(マット・フィールド氏)

消費者は望む物も伝えたい事も分かっている

この調査は、消費者は製品開発プロセスや、市場開拓プロセスに関与したいと考えていることを示している。そして、このプロセスに関われるかどうかは、購買決定やブランド・ロイヤルティに影響するようだ。

・75%の人は、もしブランドが将来の製品に関するフィードバックやアイデアを求めた場合、そのブランドの製品を買う可能性は増えると回答した。66%の人は、好みのブランドにフィードバックする機会がより多くあれば良いと考えている。

・ミレニアル世代やZ世代(18-34歳)の83%は、フィードバックを求めるブランドの商品をより買いたいと感じると回答している。

・約4分の1(22%)の人は、「どのような製品が、どのように作られるか」に影響を与えられることは、ブランドへのロイヤルティを増す要素だと考えている。

しかしながら、254人の小売業の専門家は、製品開発チームにとって未だに最も難しいことは、エンドユーザーの好みを理解することだと答えた。この事実が示すことは、消費者が対話を望んでいるということと、小売業の側の消費者への認識の欠如との間に、隔たりがあるということだ。

・43%の専門家は、今日で最も難しい商品開発の課題は、「消費者の好みを理解すること」だと回答した。これに次いで在庫管理(41%)、価格戦略(32%)が上げられた。

・41%の専門家は、小売業の最も重要な課題は、顧客を獲得し保持することだと感じている。次に多かったのは、部門間の連携が取れないといった非効率的な組織体制という回答で、28%だった。

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