地域密着「コンビニデパート」大丸山科店、歴史に幕 31日 

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閉店を間近に控えた店内。感謝セールには地元の客が多く訪れている(京都市山科区・大丸山科店)

 1998年に開業した京都市山科区の大丸山科店が31日午後8時に20年の歴史に幕を下ろす。地域に密着した「コンビニエンスデパート」として、近隣住民の衣食住を支えてきたものの、近年は売り上げが低迷。閉店を前に、従業員や買い物客がさまざまな思いを巡らせる。

 同店は、大丸(現・大丸松坂屋百貨店)が山科駅前再開発に伴うにぎわいの拠点「RACTO(ラクト)山科」の中核商業施設として98年10月にオープン。地下1階~地上4階の約9400平方メートルに物販や飲食のテナントが出店し、山科や大津市西部を主な商圏としてきた。

 客の来店頻度を高めるため、食料品や衣料品、生活雑貨、ギフトコーナーに注力した。同店に開業以来勤める高田公子さん(53)は、オープン日の様子を「私は裏方の仕事だったが、(京阪京津線の)四宮駅まで行列したと聞いた。山科に百貨店ができる期待は大きかった」と振り返る。

 「地域密着」も売りの一つ。師走恒例の「山科義士まつり」や晩夏の地蔵盆など、地元の行事に合わせた「ハレの日」向けの食料品などを展開。2003年度には売上高が59億円とピークに達した。

 ただ、長引く個人消費の低迷に加え、インターネット通販や低価格のドラッグストアが台頭。販売競争の激化で09年度は営業赤字に転落。10年8月には3、4階売り場から撤退を余儀なくされ、18年2月期の売上高は37億円に落ち込んでいた。

 高齢化が進む客層に合わせた総菜の少量販売やカジュアル衣料の充実など、品ぞろえや売り場改善に努めたものの、「業績の改善が困難」(Jフロントリテイリング広報)と判断し、昨夏に閉店を発表した。

 同店によると、今年1月から閉店セールを続ける中で、残念がる声や従業員の今後を心配する常連客も多かったという。平田賢司店長(56)は「お客さまとの距離が近く、地域の皆様に育ててもらった店だった。閉店は残念だが、最後まで笑顔で接客したい」と気を引き締めた。

 大丸閉店後は、京都市の第三セクター京都シティ開発(山科区)と京阪グループの京阪流通システムズ(大阪市)が、新たな専門店街にリニューアルする。食料品や生活雑貨、衣料品を扱うほか、カフェなどが入店する予定で、今年11月のオープンを目指している。