投資効果「1」下回る 建設費増、FGT頓挫 影響

 国土交通省は29日、九州新幹線・長崎ルート武雄温泉(佐賀県)-長崎、北陸新幹線金沢-敦賀(福井県)の費用対効果が低下し、投資に見合う目安とされる「1」を下回ったとの試算を公表した。開業後の経済効果や営業利益と建設費を比較した数値は2012年の着工時に九州、北陸とも1.1だったが、今回は九州0.5、北陸0.9となった。
 どちらも建設中の区間だけで効果を試算しており、同省は「未着工区間を含む全線が開通すれば大きな効果が見込める」と説明している。事業は継続する。
 建設費の増加に加え、九州は開発が遅れたフリーゲージトレイン(FGT、軌間可変電車)の導入頓挫も影響した。与党は未着工の新鳥栖(佐賀県)-武雄温泉で新たな整備方式を検討しているが、佐賀県との調整が難航しており、武雄温泉-長崎のみを50年運行すると仮定したため大きく下がった。
 建設費は人件費の上昇などにより九州が1188億円増の6197億円、北陸は2263億円増の1兆4121億円に膨らんでいる。
 武雄温泉-長崎は22年度、金沢-敦賀は23年春に開業する予定。

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