社会実装教育フォーラム 佐世保高専 2チーム入賞 農作物向け全自動プラズマ殺菌機の開発、遺構調査用パイプロボットの開発

 社会が抱える問題の解決に向け、学生が研究したことを発表する「社会実装教育フォーラム」で、佐世保工業高等専門学校(佐世保高専)の2チームが入賞した。それぞれのチームを代表し、専攻科複合工学専攻1年の荒木裕太さん(21)は「とても光栄。努力してよかった」、電気電子工学科4年の道上竣介さん(19)は「受賞できると思っていなかった。先生に感謝したい」と喜びを語った。
 1、2日に国立オリンピック記念青少年総合センター(東京)で開かれ、全国の高専から71チームが参加した。初日は80秒の発表とポスター展示で審査。8チームが2日目のファイナルに進み、8分間のプレゼンテーションをした。
 荒木さんのチームは「農作物向け全自動プラズマ殺菌機の開発~ミカン選果機への導入に向けて~」と題して発表。ファイナルに進出し「社会実装賞」と「安川電機賞」を受賞した。
 国内では収穫後の農作物に、腐敗を抑える目的で農薬を使うことを禁止している。しかし有効な殺菌方法は確立されておらず、県内では収穫したミカンの約1割がカビなどの理由で出荷できないという。
 荒木さんのチームは、高い殺菌効果があるプラズマをミカンに照射する方法を研究した。選果機を通過するミカンに上下からプラズマを当てる装置を開発。3秒間で98%、10秒間で99%以上を殺菌できたとする実験結果を発表した。
 実用化には至っておらず、今後も研究を続ける。荒木さんは「選果機に大量のミカンがあってもちゃんと殺菌できるように、プラズマの当て方などを突き詰めたい」と意気込む。

 道上さんのチームは「遺構調査用パイプロボットの開発」をテーマに発表。ファイナルには進めなかったが、技術力の高さを評価され、要素技術賞(ハードウエア)を受賞した。
 佐世保市内には旧日本海軍佐世保鎮守府の遺構が数多く残っているが、海に沈んだ船や危険な場所など、今も探索できていない場所がある。市内の企業と協力し「水中」や「狭い空間」など、特異な環境に適応した複数のロボットを開発。道上さんは主に回路の構築を担当した。
 今後は現場で性能を検証。サンプルを採取するアームの設置など改良を進める。道上さんは「もっといろいろな場所で使えるロボットを作りたい」と意欲を燃やしている。

社会実装教育フォーラムで入賞した荒木さん(左)と道上さん=佐世保市沖新町、佐世保高専

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