「働き方」改革 あすスタート さらば、平成の過労働

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 時間外労働(残業)の罰則付き上限規制のほか、年次有給休暇(年休)の年間5日の取得義務化などを盛り込んだ働き方改革関連法の一部が4月1日、施行される。残業規制は企業規模によって施行時期が異なるが、年休取得の義務化は全ての企業で今春始まる。県内企業も「働かせ方」の抜本的見直しを迫られる。 関連法は昨年6月に成立し、労働基準法など8本が改正された。残業は原則月45時間、年360時間までとなる。繁忙期など特別の事情がある場合でも、月100時間未満、2~6カ月の平均で80時間以内、年720時間に制限。違反企業や担当者には、6月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる。 大企業は4月に施行されるのに対し中小企業は2020年4月からとなる。県によると、14年7月時点で県内は99.9%が中小で、大企業は73社にとどまる。沖縄と鹿児島の製糖業は適用が5年間猶予されるほか、建設業や自動車運転業、医師も5年間猶予される。

 一方、年休の取得促進はこの4月から全ての企業で始まる。年10日以上付与されている労働者が対象で、雇用形態は問わない。本人の希望を踏まえ、企業は5日分の時季を指定して取得させることが義務付けられる。県によると、13~17年度の県内の有休取得率は60%前後で、全国平均を10ポイントほど上回っている。

 これらの他、終業時刻と次の始業時刻の間に一定の休息時間(勤務間インターバル)を設けることも企業の努力義務となる。バス運転手 続く酷使

 「給料は安い上に長時間労働。割に合わない」。県内大手のバス会社に勤める40代の男性運転手が嘆く。同僚は次々と退職し、常に「乗務員募集」の案内が出ている。「働き方改革」が叫ばれる中、県民の「足」は危険を伴うほどの長時間労働に支えられている。

 「浦添から那覇のバスターミナルまで記憶がなかった。気付かずに信号を無視することもあった」

 男性は5年ほど前の経験を思い出すたび、ぞっとする。当時、深夜に帰宅して明け方に出勤。残業は100時間を軽く超えていた。過労のため、帰宅途中で意識を失ったこともあった。

 1日15時間勤務が週2回あるなど、長時間労働は今も続いている。クルーズ船寄港の増加に伴い、応援で観光バスのハンドルを握ることも増えた。路線バスでは、渋滞で休憩時間の確保も難しくなる。取れなかった休憩時間は、そのまま「サービス労働」になる。

 若い離職者が少なくないが、残業を希望する同僚も多い。入社10年を超える男性の場合、過労死ラインとされる残業80時間をこなしても、月の手取りは20万円ほどという。「家庭を持っていると、残業しないと生活できない」と訴える。

 働き方改革関連法の柱、残業時間の上限規制は、バス会社など「自動車運転の業務」には5年間、適用が猶予される。原則「月45時間」の上限が適用されるとどうなるか。男性は「ダイヤが回らない。増員するか、減便するしかない。でも賃金を上げないと、働く人はいなくなる」と話す。ダイヤ改正の話は、まだ耳にしていないという。 (真崎裕史)