新「iPad mini」レビュー。3年半ぶり大進化、これはもう「小さなiPad Pro」だ!

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アップルが新しい第5世代のiPad miniを発売した。シリーズ最小サイズの7.9インチRetinaディスプレイを搭載するiPad miniが、初めてApple Pencilに対応。さらに「A12 Bionic」チップを搭載し、ARや写真などに必要な機械学習処理をパワフルにこなすNeural Engineを統合するなど、見どころいっぱいの本機をレビューしよう。

7.9インチRetinaディスプレイを搭載する第5世代「iPad mini」をテストした

iPad miniは2012年にデビューし、2015年に発売された「iPad mini 4」まで、毎年コンスタントに新製品が登場していたが、その後アップデートが途絶えていた。今回、約3年半ぶりとなるアップデートが実現した格好だ。同時に発売されたiPad Airも含めて、名前に歴代モデルから続くナンバリングがない理由は、現行のiPadのラインナップと並べた際、区別しやすいようにという配慮からだろう。

新しいiPad miniのカラー展開はシルバー/スペースグレイ/ゴールドの3色。ストレージのサイズは64GBと256GBが選べる。Wi-Fi専用モデルとWi-Fi+Cellularモデルがあり、それぞれスタート価格はWi-Fi専用モデルが45,800円(税抜)、Wi-Fi+Cellularモデルが60,800円(税抜)。約66,000円を用意すれば、64GBのWi-Fiモデルに10,800円(税抜)のApple Pencil(第1世代)、そして4,500円(税抜)のSmart Coverがまとめ買いできる。

Smart Coverを装着したところ
カバーはスタンドにもなる。旅行でVODを楽しむためのビューワーとしてもぴったりなサイズ感

長時間手に持って使うには「ベスト」なiPad

実機に触れてみると、“片手に収まるiPad”に、愛おしさのようなものがこみ上げてくる。本体の厚みは約6.1mm。スペックはiPad Proの方が約5.9mmと少しスリムだが、手に持った感覚はほとんど変わらない。

本体の背面。アンテナまわりがかつてのiPad Proと同じすっきりとしたデザインになった

質量はWi-Fi専用モデルが300.5g、Wi-Fi+Cellurarモデルは308.2gと、iPadシリーズの中ではダントツに軽い。電子書籍ビューワー、あるいはポータブルゲーム機として、長時間手に持って使うiPadとしては、サイズ・質量ともにこれがベストと言える。

Apple Pencilの書き心地はとても良い

Apple Pencilの書き心地はとても良い

ちなみに現行モデルのiPhoneは、いずれもアナログイヤホンジャックが搭載されていない。iPad Proも同様だ。それがiPad miniにはしっかり残されているので、アダプターがなくても有線イヤホン・ヘッドホンで音楽が聴ける。底面にあるデジタル端子もLightningなので、Lightning-USBカメラアダプターなどを介してポタアンをつないだり、Lightning直結タイプのイヤホンも使える。

3.5mmイヤホン端子が搭載されているiPad mini。ポータブルオーディオプレーヤーとしても「アリ」なサイズ感だ

背面のメインカメラにはiPhoneやiPad Proのような出っ張りがない。8メガピクセルというセンサーの解像度は、数字だけ見ると頼りなく感じるかもしれないが、A12 Bionicチップによる画像処理能力がとても高いので、十分に満足できるきれいな写真が手軽に撮れる。ちなみにこのA12 Bionicは、iPhone XSにも搭載されている最新のものだ。

8MPのメインカメラ。レンズ部のでっぱりがなく、スッキリしている

フロント側のFaceTimeカメラは7メガピクセル。第6世代のiPadの1.2メガピクセルよりも高性能だ。表裏のカメラは、ともにビデオ撮影の最高画質として1080/30pを確保している。

スピーカーはステレオ仕様だが、開口部はボトム側に2つだけ。立体感のある自然なステレオ再生能力は、やはり4スピーカー搭載のiPad Proに軍配が上がる。

スピーカーはボトム側に2基搭載。デジタル端子はLightningだ

Wi-Fi+Cellurarモデルについて注目したいポイントは、理論値で下り速度が1Gbps以上のLTE通信に対応したことと、eSIM機能を搭載したことだ。海外旅行に持ち出し、現地の通信事業社が提供するeSIM対応サービスにつないで高速LTEサービスを簡単に利用できる。海外出張の頻度が高いビジネスマンの仕事用ツールとしてもiPad miniは活躍してくれそうだ。

Apple Pencilは第1世代のみの対応だが、その書き心地はとても良いことを強調しておきたい。なぜなら新しいiPad miniには、タッチセンサーとカバーガラス、液晶パネルを一体化したフルラミネーションディスプレイが搭載されている。Apple Pencilのペン先と描画位置との間のギャップがとても少なく、とても自然な書き味が得られる。これまではiPad Proにしか搭載されていなかったディスプレイ技術が、新しいiPad miniとiPad Airにも展開された。

第1世代のApple Pencilに対応している
カバーガラスと液晶パネルとのギャップが少ないフルラミネーションディスプレイを採用。Apple Pencilによる書き心地がとてもよい

筆者も12.9インチのiPad Proで時々下手な絵を描いて遊んでいるが、7.9インチのiPad miniなら本体を片手で持ちながらスケッチが楽しめるので、もっと頻繁に筆を取りたくなりそうだ。さらにディスプレイの反射率はiPad Proと同じ1.8%に抑えているので、屋外で使う時にも陽射しの映り込みが少ない。つまり、見やすいし目に優しい。植物や建物の写生を外で楽しむ時にもいいと思う。

前モデルのiPad mini 4が搭載していたA8チップに比べると、新しい第5世代のiPad miniが搭載しているA12 Bionicチップは、シングルコアの処理性能が3倍になっている。さらにグラフィック処理の性能はおよそ9倍もアップしているという。

A12 Bionicチップを搭載した効果は、ARアプリやゲームを遊んでみると特に強く実感する。ARオブジェクトを表示したり、動かした時のもたつきがなくサクサクと動く。

ARアプリやゲームがサクサクと動く

12.9インチのiPad Proでは、両手で持ってカメラをかざすのが重く、ARアプリの起動回数が減りがちだった。iPhoneよりもiPad miniは画面が大きく、アスペクト比が4対3なので、カメラでキャプチャした現実世界の視野が広く取れる。だから伸び伸びと遊べる。これならARアプリにもっと興味が湧きそうだ。

DCI-P3基準になったディスプレイの画質も良好

DCI-P3基準になったディスプレイの画質も良好

凝ったグラフィックスのゲームの動作も、驚くほど速く安定している。先日アップルが発表した定額制ゲームストリーミングサービス「Apple Arcade」が日本に上陸したら、iPad miniは最高に相性の良いゲーム機になるだろう。

Netflixの動画も見てみよう。iPad miniの7.9インチのRetinaディスプレイは解像度が2,048×1,536ピクセル、画素密度が326ppi。HDRには非対応だが、トーンバランスがとても自然で心地よい。

海外ドラマ「パニッシャー/シーズン2」を視聴すると、人物の顔の輪郭がとてもシャープに描かれる。陰影による奥行きの空間再現にも深みがあって、物語の舞台に引き込まれてしまう。ディスプレイがカバーする色域は、前モデルのiPad mini 4はsRGBを基準としていたが、新しいiPad miniはDCI-P3の広い色域が表示できる。また、明るさも400nitsから500nitsに上がっている。ポータビリティの高さとあいまって、旅行や出張に持ち運びやすいコンテンツビュワーとしての魅力が一段と高まった感がある。

12.9インチのiPad Proとサイズ感を比較
iPad miniとして初めてTrue Toneテクノロジーを搭載した

Apple Booksで電子書籍を閲覧する場合の快適さも、iPad miniは群を抜いている。本体が軽いうえに、アスペクト比4対3の7.9インチRetinaディスプレイが様々なコンテンツにとてもよくフィットするのだ。iPad miniとして初めて、周辺環境に応じて画面の色合いを自動で最適化するTrue Toneテクノロジーを採用しているので、白場の多い小説、実用書系の電子書籍を読んでいても目が疲れにくかった。カラーのフォトグラビアも冴える。

電子版のグラビア写真集もこっそり楽しもう
スマートデバイスのコントローラーとしてもiPad miniは活躍してくれるだろう

筆者は自宅で仕事をするとき、Amazon Echoシリーズで音楽をよく聴く。Amazon Music Unlimitedの選曲やインターネットラジオのチャンネル選局を、側に置いたiPad miniで手軽に出来ることがとても快適に感じられた。ネットワークオーディオやIoTデバイスのリモコンとしても活躍しそうだ。

iPad miniは、多くの熱烈なファンに愛されている7.9インチのスリムでコンパクトサイズはそのままに、内部はA12 Bionicチップを中心に最強のチューンアップを行った。これから続々と誕生するリッチな動画・ゲーム系のストリーミングサービスも十分快適に楽しめる底力を持っている。本機はもはや「小さなiPad Pro」と呼ぶべきだ。

このサイズ感と高性能に加えて、Apple Pencilにも対応したことも注目。iPad mini+Apple Pencilを念頭においたアプリやサービスも現れそうだ。現在App StoreにはiPadに最適化したアプリが100万以上揃っているそうだが、その数がさらに増えるかもしれない。とても楽しみだ。

筆者は新しいiPad miniを母にプレゼントするつもりなのだが、使ってみたら予想以上に満足度が高かったので、自分用にも1台買うべきではないかと思案しているところだ。