新元号あす発表

 社会面のトップ記事に「昭和に思い残し」「喪に服す県内各界」と大きな見出しがあって、そばには「戸惑いと歓迎と 新元号に思いさまざま」という見出しの記事が並ぶ。1989年1月8日付、昭和が終わり新しい元号が平成に決まったと報じる小紙には、新旧二つの元号が入り交じる▲県内の「新元号に思いさまざま」の記事を読めば「昭和に比べると物足りないが、なじむと思う」と冷静な人がいて、「平和への願いが込められているようで、響きもいい」と好印象を語る人もいる▲それから30年、皆さんはどんな思いを抱くのだろう。時代の変わり目を印象づける新元号があす発表される▲平成の世は、喪に服すことなく終わる。天皇の退位に伴う改元であり、前もって元号が知らされることに、日本全体がそわそわ、気もそぞろという感じがする▲30年前の1月8日の新聞に「新元号“対応”に大忙し」という記事も見つけた。金融機関がシステムを改修したりして大わらわ、と。今回は役所、銀行、印刷業、ゴム印の印章業と、新元号への移行に備える人たちは準備に余念なく、それでも気ぜわしいことだろう▲親しみやすさか新鮮味か、新元号にいろいろと印象を抱き、平成の去る寂しさも日に日に募り…と、ことの外、思いさまざまに過ごす4月に違いない。(徹)

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