「蔵書から新元号を」と期待

足利学校、公表を心待ち

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国宝「宋版周易註疏」の影印本。新元号の出典となるか期待が高まる=29日午後、足利学校事務所

 新たな元号は4月1日午前11時半ごろ公表される。平成、昭和、大正、明治の典拠となった中国古典の国宝書籍を所蔵する足利市昌平町の史跡足利学校では、同市職員が公表の瞬間を心待ちにしている。元号は中国古典を出典とするのが慣例で、蔵書には天平、宝暦、文化など明治より前の出典も数多い。新元号候補は日本古典に基づく案も含まれるとされるが、職員は「蔵書から選ばれてほしい」と期待に胸を高鳴らせている。

 平成、昭和は中国古典の「尚書正義(しょうしょせいぎ)」、大正、明治は同じく「周易註疏(しゅうえきちゅうそ)」が典拠とされた。足利学校が所蔵する「宋版尚書正義」「宋版周易註疏」はいずれも国宝に指定されている。

 ただ国宝や文化財の書物を手荒に調べるわけにはいかない。典拠が両国宝の場合、現物を写真撮影して印刷した「影印本」を調べることになる。

 4月1日はテレビニュースを注視し公表され次第、同学校事務所職員3~4人で調べる構えだが、原文は膨大な漢文だ。大沢伸啓(おおさわのぶひろ)所長(59)は「典拠の箇所が詳しく説明されれば調べやすい。影印本がない書籍だったら、どうするか」と心配する。

 とはいえ「蔵書から新元号」との期待は高まる。同学校では天皇陛下の退位の発表以降、元号に関して調べて準備してきた。昨年10~12月には両国宝などを公開した企画展「元号」を開き、予想を上回る約3万2千人が観覧した。12月からは明治~平成の典拠部分の書写体験も始め、人気を集めている。

 平成が決まった際の有識者会議のメンバーだったインド哲学・仏教学者の中村元(なかむらはじめ)氏(1912~99)はその後、1994年から死去するまで、足利学校の校長に当たる「庠主(しょうしゅ)」を務めた縁もある。

 「今までも学校所蔵の書籍から選ばれてきた。新元号も選ばれるとうれしいし、期待している」と大沢所長。国宝などはすぐに展示するわけにはいかないが、蔵書に典拠が見つかれば改めて展示の機会をつくる予定だ。