おさかなポスト廃止に 多摩川への外来魚投棄増の懸念

「さかなの家」などの閉園イベントでカメとふれあう子どもたち=川崎市多摩区の市さかなの家

 川崎市多摩区の稲田公園にある、家庭で飼えなくなったカメや外来魚などを受け入れ一時的に保管する「おさかなポスト」が31日、廃止された。ポストが設置されている「市さかなの家」が同日閉園になったためで、外来魚の多摩川などへの投棄増加に懸念の声が出ている。

 さかなの家は、アユやコイの稚魚を育てる蓄養池として、川崎河川漁業協同組合が市に建設を求めて1984年に開園した。

 2005年、家庭で飼えなくなった魚やカメの投棄防止を目的に、漁協総代の山崎充哲さん(60)が、無償で引き取り新しい飼い主を探すおさかなポストの水槽を施設の一角に設置した。日中、自由に投入でき、これまで熱帯魚やミドリガメといった外来種など約200種、10万匹以上を引き受け、新たな飼い主に渡すなどしてきた。

 さかなの家の敷地内には四つのいけすがあるが、老朽化で全面改修が必要となり、市が管理を委託している漁協と話し合っていた。しかし、昨年11月、漁協が高齢化などで蓄養事業を終了することを決め、閉園を申し出た。

 施設の廃止により、今後は同区生田にあるNPO法人「おさかなポストの会」の飼育管理事務所で、対面方式での引き取りに変更する。山崎さんは「気まずいと思う人は、多摩川や水路に投棄するでしょう。おさかなポストにより、多摩川の外来魚はだいぶ減った。今後、熱帯魚などが増えて“タマゾン川”となり、生態系が破壊されなければいいが」と危惧している。

 さかなの家の閉園日となった31日、施設への感謝を込めたイベントが開かれ、多くの家族連れらが、ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)や外来魚などとふれあった。東京都調布市の小学5年藤原達生君(11)は「魚にえさをやったりできて楽しかった。なくなるのは残念」と閉鎖を惜しんでいた。おさかなポストの問い合わせは、山崎さん電話090(3209)1390。

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