【コラム】地域マーケティング専門会社が那覇空港のリアル店舗にチャレンジした狙いとは?〜リアル+デジタル=新しい地方創生〜

2019年3月18日、那覇空港に新しくオープンした新ターミナルビルで、私達ネイティブ株式会社は、ゆいまーる沖縄株式会社と共同で、新しい取り組みをはじめました。それは、クラフトや工芸の商品を販売するリアルのお店。店名は「 Dear Okinawa,

(ディア沖縄)といいます。私達にとってはリアルのお店に携わるのは初めて経験。しかもいきなり「空港内ショップ」ということで、かなりのチャレンジ。関わっているメンバーは本当に大変だったと思います。地元で長年高原品の卸・小売事業に携わるゆいまーる沖縄さんと一緒だったのが、本当に心強く、むしろそうでなかったら実現が難しかったかもしれません。ご一緒できて本当に良かったです。

おかげさまで、オープン後2週間は、予想以上に多くのお客様に足を運んでいただき、売上もまあまあの滑り出しです。

ここで、改めて私達が なぜこの新事業を沖縄で始めたのか をお話したいと思います。

沖縄は隠れた「クラフト・工芸」の人気地域

沖縄のクラフトや工芸と聞いて、すぐに思い浮かべるものがある方は、すでにかなりの沖縄ファンでしょう。実際、沖縄には人気の作家さんがたくさんいらっしゃいます。もちろん沖縄出身の方もいれば、特に東日本大震災以後、日本各地から移住して来られた中から、人気作家になっている人も数多くいらっしゃいます。数年前からカフェ巡りとクラフト巡りは、沖縄好きの女性には人気の旅の目的になっていました。それに加えて、ここ数年のホテルや商業施設建設ラッシュなども相まって、実は沖縄クラフト・工芸産業は、既にかなりの盛り上がりを見せています。

そんな中、ありがたいご縁でこの出店に関するご提案の機会をいただいたときに、私達は考えました。

「空港内という特殊な条件を生かして、単に品物を仕入れて販売する以上のリアル店舗ができないだろうか?」

もともとデジタルマーケティング畑出身で、各地でやはりデジタル中心の地方創生事業を展開してきた弊社にとって、いくら場所がいいとしても、リアル店舗でのビジネスだけで簡単に成功できるとは思えません。また、どうせやるなら、やっぱり「地域の産業振興」「移住のきっかけ」になるようなビジネスモデルを考えたいと思ったんです。

沖縄をクラフト作家の登竜門に。

そんな中で社内で議論を重ねるうちに、一つのアイデアが浮かびました。それは、前述のような経緯で全国から集ってきたセンスあふれる作家さんたちが、これからさらにたくさん沖縄に集まるためのアイコン的な店にしてはどうかということです。 ご存知の方も多いと思いますが、ここ数年、クラフトやハンドメイドは日本全国でそのマーケットが広がっています。というのも、 minne やCremaなどのマーケットプレイスが大人気で、自分が作った作品を売れる市場ができあがってきたからです。国内No.1のminneは、なんと流通総額100億円超。作家さんも50万人を超える規模に成長しています。こうした流れを取り込んで、沖縄の新しい一面を作ることは可能なんじゃないか。「クラフト作家として沖縄でデビューするのが夢」という人を増やせば、沖縄の新しい産業振興と、移住促進、さらには沖縄旅行の新しい目玉を同時に作ることができるはず。そう考えたわけです。 沖縄の伝統工芸産業は、当然歴史もありますが、同時に各地から若い人を受け入れる寛容さも備えています。既に知る人ぞ知る沖縄旅行の楽しみを、もっとメジャーなものにできれば、これは私達が目指す「地域マーケティング」そのもの。ぜひ実現させたいと思うようになりました。

コラボレーションを生み出す施策も

同時に、こうした地域産業振興を主眼とした主旨なら、興味をもってくれる企業とのコラボレーションもできる可能性があります。沖縄のマーケットに進出したい企業や、クラフトマーケットの拡大を狙う企業、更には地域の名士的な企業で、地場産業や事業者支援などに関心の高い企業は必ずいるはず。 この事業を「Craft Gateway Okinawa」と名付け、企画書を持ってあちこちに提案して周りました。 その結果、なんと4社も賛同していただき、それぞれの主旨に合わせた企画を始めることができました。 そのそれぞれの趣旨を少しだけご紹介します。(社名を紹介する時にはいつも悩みますが、あえて親しみを込めて「さん」付けで…)

はじめに手を上げていただいたのは、 KDDIウェブコミュニケーションズ さん。誰でも簡単にホームページが立ち上げられる Jimdo(ジンドゥー) というサービスを運営されています。利用数は国内だけでもなんと170万以上というメジャーなサービス。それだけに利用者の中には既に沖縄のクラフトや工芸の作家さんも多数いらっしゃるとのことで、そういう皆さんに、まさに販路拡大のお手伝いができればとの主旨でご賛同いただきました。

また、大きかったのはなんと前述のminneを運営する GMOペパボ さんとの出会いです。minneはまさに国内ハンドメイド市場のリーダー的な存在。その作家さんの作品をお店で販売するだけでなく、国内のクラフト市場をさらに発展させるための刺激になるような、様々な企画やイベントをご一緒できればとご相談中です。

さらには、私達が沖縄で事業をはじめたきかっけを作っていただいた、 沖縄セルラー電話(※) さん。長年携わらせていただいた 沖縄CLIP での当企画の情報発信と、同社が県内各地で製品開発や販路開拓に携わる地産品の販売支援をさせていただきます。(※実際の事業は沖縄セルラーアグリ&マルシェ株式会社とご一緒しています)

そしてなんと県内の代表的な地方銀行である 沖縄銀行 さんにも、この企画の主旨へのご賛同からの協賛をいただき、県内の様々な企業との橋渡しをご支援頂く予定です。

こうした名だたる企業との共創の機会をいただけるなどとは思ってもみなかったので、本当に身に余る光栄です。このチャンスを生かして、是非とも様々な企画を実現させたいと考えています。またこれからも、別の分野の新しいパートナー企業を募集し、さらにこの企画の幅を広げていきたいとも思っています。 ※参考リリース記事は こちら

デジタル時代のリアル店舗と「地方創生」

言うまでもなく、地方創生分野で、地域の新しい商品を開発し、それを販売していくのは、その戦略のど真ん中の柱です。

ただ、様々な事例を見ても、やはりそれは簡単ではなく、なかなか苦戦していることが多いのも事実です。 売れ続ける商品を作る事自体、もちろん難しいことなのですが、その売り方も、時代の変化に合わせていく必要が大いにあるような気がしています。

少し前に、この 「小売再生 ―リアル店舗はメディアになる 」 というタイトルの本を読んで非常に刺激を受けました。

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内容を簡単に言うと、リアル店舗は、デジタル時代に新しい役割を担うようになる。それは体験を伝えるメディア的な役割だということです。もちろん、ビジネスとしての販売機能は並行しつつも、決済はキャッシュレス、商品も配送されるとなれば、もうECとリアル店舗の境目はほとんど無くなると言ってもいいでしょう。リアル店舗のあり方は、急激に変化しているのです。ここにこそ、私達がリアル店舗に挑戦する意義があります。ご紹介したとおり、コラボレーションを快諾いただいた企業の多くがIT系なのも、必然的な流れでしょう。 本書もおすすめですので、ご興味のある方はぜひ!

地方創生分野の事業というと、比較的地味な印象ですし、社会貢献的な面が強調されがちです。それはそれでありがたいし、そのつもりでもあるのですが、同時に 「時代の大きな流れをいかに取り込んでいくか」 も、非常に大きなカギであることは間違いないでしょう。

ぜひこの事業を発展させ、沖縄という地域と、「地方創生業界」そのもののイメージを変えていければと思っています。 引き続きご注目頂ければ嬉しいです。そしてぜひ沖縄にいらした際は、お店にもお立ち寄り下さい!お待ちしております。

文:ネイティブ倉重

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