富留屋(下)【37】

室蘭・中央町

©株式会社室蘭民報社

創業120年、店の味守る

創業120年の老舗菓子店の味を守る4代目の古谷公億代表取締役(右)と妻の昌美さん

 4代目の古谷公億代表取締役(60)は東京の製菓学校に2年間通い、千葉県の和洋菓子店に2年間勤務。3代目の父、嘉章氏から店の繁忙で「戻ってきてほしい」と言われ、帰蘭した。初代の頃から続く昆布菓子「蝦夷(えぞ)の華」の作り方はみっちり教え込まれたという。

 嘉章氏は昭和30年代、ソフトクッキーでアイスクリームを挟んだハイカラな「アイスド・クッキー」を販売し、人気に。公億氏は「冷蔵庫が普及していなかった時代ですよ」と、着眼点とチャレンジ精神に感心する。嘉章氏は手作りにこだわり「ごまかしのきかない菓子を作れ」「店は大きくせず、目の届く範囲でやれ」と話していた。

 公億氏は「父はお菓子に愛情とプライドを持っていた。店の味を守っていくことを第一に考えています」と語る。2013年(平成25年)に嘉章氏が亡くなり、公億氏が代表取締役に就任。妻の昌美さん(55)と共に店を切り盛りする。店には昔ながらの製法で作られた菓子がずらりと並ぶ。

 老舗の味のファンは多い。「懐かしい」と買いに来る人が増え「男性客も1人でふらっと立ち寄りますね」と最近の傾向を語る。祝い事や法事などの行事の簡素化で「お菓子の需要が少なくなっている」と言い、その分「日常の季節のお菓子の演出、買いやすい店づくりが目標です」と語る。

 長年の常連客の市内幕西町の立野了子さん(82)は「お土産や内祝いと言えば富留屋さん。バター煎餅(せんべい)やチーズ煎餅、紋菓子は欠かせません」と笑みを浮かべる。
(成田真梨子)

(2019年4月1日掲載)