対称性で世界を変えていくAR/VR・建築業界の革命児「SYMMETRY」【#symmetry】

皆さんこんにちは。河上 純二 a.k.a JJです。
世界を変えるスタートアップ企業にフォーカスしたレポートをお届けします。
第3回目はVR領域で最先端を走る「Symmetry Dimensions Inc. (シンメトリー・ディメンションズ・インク)」にお邪魔しています。
彼らのサービス「SYMMETRY」は3DCADデータを取り込んで、誰でも簡単にVR空間で実寸大の大きさで見ることができるソリューションです。

エンタメからはじめて「SYMMETRY」が出来るまで

VR領域をやろうとしたきっかけは、2013年に発売されたVRのコンシューマー機であるOculusの登場でした。それを手に入れ初めてVRに触れ、非常に大きな可能性を自分の中では感じていました。

当時、海外では日本に先駆けてVRの勢いは盛んで、VRスタートアップへの投資も伸びていました。

さらに決定的な機会となったのは、2014年にFacebookがOculusを20億ドル買収したことです。

これがきっかけで、すぐにでも海外に行って投資をもらってでもはじめたいと思い、この会社を立ち上げました。

会社を立ち上げてしばらくは、エンターテイメント領域×VRにチャレンジしていました。
VRゲームを作ってみたり、NHKエンタープライズさんと360度視点のVRドラマ制作をしたり、また通信キャリアと将来のVRコミュニケーションのプロトタイプを作って、SXSWに出展していたりしました。
しかし同時に、まだハードは重いし、値段も高いので、一般のユーザーがVRを手軽に楽しめる段階にはまだないと、ある種限界のようなものも感じていました。
当時、同時進行ですすめていたプロジェクトで「設計デザインデータをそのままVRにできないか?」というのがありました。建築で使う3DCADデータを取り込んで、VR空間内に実寸データで配置するというものでした
プロトタイプを作り試しに国内の展示会に出店したところ、建築土木業界の一部の人から強烈な支持を頂きました。これは行けるかも!ということで、2016年1月にエンターテイメント領域をやめて建築土木・設計の分野、いわゆるBtoBでのVRを領域に転換しました。

自分のイメージをそのまま形にして相手に伝えることが出来る

最初に相談をうけたのは、「図面から出来上がりを想像しにくい」という現実でした。

プロは3DCADデータや、大きさの数値をみればある程度、出来上がりをリアルにイメージできますが、普通の人はおそらく無理ですよね。

あと、魚眼レンズで撮影した部屋の画像を思い出して欲しいのですが、画像から部屋が広そうに見えても、実際に現場に行ってみるとたいして広くなかったなんてことありますよね。

VRの大きな特徴として「ありのままに見せる」というところがあります。

この特徴を生かし、自分のアイデアの再現、そのアイデアを相手に正確伝えるとう事を実現するために「対称性”Symmetry”」=「SYMMETRY」という名前でこのプロダクトを開発しました。

大きな技術的な特徴は、3DCADデータをVR空間内にそのまま変換し表示できることです。パワーポイントに画像を入れ込めば、すぐ画像が表示できるのと同じような感覚で、誰でも簡単にVRを表示できます。プログラムの知識は一切不要でVRができるのが一番の技術的な特徴です。

2017年2月のリリースから、世界111カ国、11000以上のお客様に使っていただいています。2018年10月に製品版をリリースしました。お客様が望んでいる製品にするにはまだ時間がかかり、お客様からのフィードバックを得て改良していく作業がこれから始まっていく段階です。スタートアップとしてはまだまだアーリーステージです。

VRの本領発揮は5Gが出てからの世界

VRが販売されたのは2016年で、2019年の今現在まで3年しか経っておらず、iPhoneに例えるとVRはまだ3Gの段階です。さらにVRはマシンのパワーをかなり消費するので、お客様のもっているクライアントPCのCPUやGPUのスピードにかなり左右されます。ハイスペックのものが昨今出ていますが、まだまだ難しいです。

そこで期待されているのが、「5G」と「エッジコンピューティング」です。
5Gの特徴は簡単に説明すると、「超高速」「超大量接続」「超低遅延」です。
さらに、基地局やユーザーの端末の近く(エッジ)に高速なワークステーションを分散配置する「エッジコンピューティング」により、今までクライアント側で処理していた演算を、基地局側の高速なワークステーションで演算させて、クライアントに超高速で返す事が可能になります。
そうなると、VRを提供する上で今まで問題だった、マシンパワーの問題はなくなるわけです。演算するのは基地局側、クライアントはただの表示モニターになります。

こうなってから本番で、映画のようなグラフィックスをバリバリ体験できる世界がやってきます。スパイ映画のように、サングラスに映像を重ねて表示したりすることが出来るわけです。
先日マイクロソフトが発表したHoloLens 2ですが、その中にあるリモートレンダリングというのがあって、実はこれが本命のテクノロジーなんです。

さらに、Wifiでの給電(無線給電)が実現すると、バッテリーが不要になるので、スマホの重さも一気に軽くなります。
5G×エッジコンピューティングにあわせて、Wifi給電が実現するといよいよ未来がやってきたなという感じです。

クライアント側では目の動き、手の動き、体の動きを感じ取る「センシング」がメインになります。そうなるとIoTも本領発揮です。そういったデータを瞬時に計測し、基地局で演算して返してあげることで、その人に合わせたサービスをリアルタイムで提供することが可能になります。

そんな世界、VRも僕たちの世界も、5Gが出てきてから始まる10年から15年間が一番面白いと考えています。

SYMMETRY CEO 沼倉正吾(右)

「僕らが目指しているSymmetryとは、

自分の中のアイデアを形にするという意味でのSymmetry、

それを相手に伝えるSymmetry、

現実のデータとデジタルのデータをSymmetryさせること。」

Symmetry Dimensions Inc.
https://symmetryvr.com/jp/

■河上 純二 a.k.a JJプロフィール

ビジネスプロデューサー/パーソナリティ/モデレータ

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