社説:10代前半の自殺 SOSを受け止めたい

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 悲しい現実を社会で受け止め、改善に努めたい。

 厚生労働省がまとめた2017年の人口動態統計で、日本人の10~14歳の死因として自殺が戦後初めて1位になった。

 10代前半の死因の上位を長く占めてきたのは不慮の事故、がんだった。これらの死亡率がこの50年で大幅に下がった中、自殺だけが3倍と突出して増えた。

 若者の死因の1位が自殺というのは先進7カ国で日本だけだ。近年、国内の自殺者数が大きく減る中で対策にもれがあったのではないか。若年層に焦点を絞った予防策の強化が改めて求められる。

 国内の日本人の自殺者数は3万2千人を超えた03年をピークに減少に転じ、17年は約2万人となった。06年の自殺対策基本法施行を受けて国や自治体が対策を進めたことが奏功したとみられる。

 ただ年代別の自殺死亡率では10代だけが横ばい状態のままで、中高年に比べて減り方が鈍い。

 厚労省の自殺対策白書などによると、10代前半の自殺は他の世代ほど原因解明が進んでいない。「動機不明」の比率が高いほか、未遂歴のない自殺者も多い。

 周囲が予兆に気づかないうちに突発的に命を絶つケースが目立つことが気がかりだ。

 幼少期からの対策を検討するためにも、児童生徒の自殺の実態を詳しく把握する必要がある。

 13年にいじめ防止対策推進法が施行され、自治体などが第三者委員会を設置して事実関係を調査するようになっている。

 最近も福岡県や鹿児島県で高校生の自殺がいじめに起因するものとの認定が相次いだ。また、いじめで自殺した兵庫県の女子中学生のようにSOSを教師が受け止められず、不適切な対応で追い詰める例のあることも分かってきた。

 大切なのは予防教育だ。いじめや友人関係のトラブル、成績の悩みなど、つらい気持ちを信頼できる人に伝える。こうした取り組みを広げる必要がある。家庭や学校はそのシグナルにきちんと向き合ってほしい。

 若者が抱える深い孤独感や自尊心の問題に寄り添うには、地域の声かけや見守りが重要だろう。また、インターネットや電話を使い、さまざまな団体や機関が悩み相談に応じている。ネット相談の拡充も急務だ。

 近年、春休みや大型連休などの休暇後に子どもの自殺が急増する傾向にある。心の叫びにどう応えるか社会全体で知恵を出し、10代の命を全力で守りたい。