"JKのセンバツ" 決勝直前レポート 大会2連覇か東北勢の高校野球史上初優勝か

2日、全国高等学校女子硬式野球選抜大会決勝戦は、前年優勝の神戸弘陵高校に、創部2年目部員11名のクラーク記念国際高校が挑む。圧倒的な総合力の高さで、危なげなく勝ち進む神戸弘陵に対し、高校最速125km/hを記録したエース小野寺を中心に11人で勝ち上がったクラーク。勝負の行方は...

2019年4月1日、第20回記念全国高等学校女子硬式野球選抜大会決勝戦は、前年優勝の神戸弘陵高校に、創部2年目部員11名のクラーク記念国際高校が挑む。

関西の強豪校に、11名の東北の少女たちが戦いを挑む構図は、2018年の男子の全国高等学校選手権大会の大阪桐蔭vs金足農業を彷彿とさせる。

高校野球史上初めて、優勝旗が東北の地に降り立つ瞬間が訪れるかもしれない。

地元、伝統校、因縁の相手を倒して...

クラーク記念国際高校は、2018年4月に創部した東北初の高校女子硬式野球部だ。
楽天イーグルスが全面バックアップし、監督は元楽天で楽天ベースボールアカデミーのコーチを務める石田隆司氏が兼任。
ヘッドコーチには西武などで活躍した広橋公寿氏(現・アカデミーコーチ)が名を連ね、元マドンナジャパン代表の石田悠紀子(現・アカデミーコーチ)も指導の機会を持つ。

今大会、クラーク記念国際高校はミラクルの連発であった。

シードのため2回戦より登場したクラークの初戦は、
開催地埼玉県の強豪花咲徳栄高校と激突した。
加須市は、「女子野球の聖地」を謳っており、
町中には大会ポスターがあちこちに貼られている。
地元のチームを一目見ようと、多くのファンがスタンドに押し寄せた。
しかし、強打の花咲徳栄打線を高校最速125km/hを記録したエース小野寺らの
投手リレーで振り切って勝利を収める。

続く準々決勝は、
第1回大会より出場している伝統校神村学園と対戦。
前線の勢いそのまま序盤から5点のリードを奪うものの
終盤、ジリジリと押し寄せてくる神村学園の攻撃を
なんとか凌ぎ、準決勝進出。

準決勝は、昨年夏のユース大会など、死闘を繰り返す
至学館との対戦。
対戦前より、両校の監督が「今日で決着をつける」と意気込むほど意識し合う。
試合は、9番安孫子の3ベースヒットで先制するものの、
至学館も食らいつき、延長戦へ。
タイブレーク8回表のクラークは1点に留まり、
裏の守備では、ミスが絡んで無死満塁の絶体絶命のピンチを
エース小野寺が三者連続三振を奪いゲームセット。

幾多の場面も乗り切り、今大会まさに破竹の勢いである。

漂う王者の風格。ミスなく決勝に進出

前年度センバツ大会王者にして、昨夏のユース大会においても、優勝を記録している神戸弘陵高校は、威風堂々の勝ち上がりだ。

1回戦、対戦相手は秀明八千代高校と前年大会決勝カードの再戦ともあり、スタンドも多くのファンで埋め尽くされる中、投打が噛み合いコールド勝利。

2回戦を勝ち上がり、準々決勝では、マドンナジャパン監督橘田恵率いる履正社高校と関西対決となった。
初回、相手のミスを含め先取点を奪うと
今大会わずか1失点、投手としての完成度の高さがうかがえる
エース佐伯絵美がシャットアウト。

準決勝では、最多優勝を誇る埼玉栄高校と激突。
着実に得点を重ね、危なげなく勝ち進んだ。

そつのない打線や守備においても目立ったミスはほとんどない。
鍵となるのは準決勝で、無安打に終わった4番工藤の長打ではないだろうか。

出場校増加 女子野球は次なるステージへ

両エースの連投により、体への影響が心配だ。
男子の高校野球では、投球制限など、若者の未来を守ろうと
意見が飛び交う。
10年間で、20校以上増えた女子野球も
今後を見据え、一歩次の議論に入るかもしれない。

2日、記念すべき20回目のセンバツ大会優勝は
2連覇か悲願の東北勢優勝か
明日の決勝、
AM10:00~
応援.TVにて、生配信する。

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