映画『孤狼の血』『凶悪』など、数々の問題作を世に送り出してきた鬼才・白石和彌監督が、映画『昼顔』で爆発的な人気となった斎藤工とタッグを組んで作った映画『麻雀放浪記2020』。この作品は、1984年に和田誠監督で映画化された阿佐田哲也のベストセラー小説「麻雀放浪記」を原案にして、完全オリジナル脚本で新たに生み出された映画です。
舞台は東京オリンピックが中止になった2020年の東京。働き口はAIが乗っ取り、経済は最悪な状況、荒れ果ててしまった東京に「麻雀放浪記」の主人公・坊や哲がなんと1945年の東京からタイムスリップしてきてしまうというとんでもない設定の映画です。あまりにも面白そうだし、私ももっと詳しく本作を紹介したいのですが、この作品、マスコミにも事前試写は一切なしという謎のベールに包まれたまま。私自身、映画を観ていない状態でレビューを書くという初めての経験をしています。
それでも本作を紹介したかったのは、出演者であるピエール瀧が公開直前にコカイン摂取で逮捕されたことで、彼の関わった多くの作品が「自粛」という形を取る中、本作だけは瀧の出演シーンも入れた完全ノーカット版での公開という決断を下したから。これは私たちが想像するよりはるかに大変な決断であり、勇断でした。本当はこんな形での注目など浴びたくなかったはず。それでも自分たちの作り上げた作品に誇りを持って上映を決めた監督、スタッフ、出演者のためにも、一人でも多くの人がこの作品を観ることができればいいなと願っています。（森田真帆）
監督:白石和彌
出演:斎藤工、もも、ベッキー
4月5日（金）から全国公開
