激戦区を歩く 2019 県議選(2) 佐世保市・北松浦郡区(定数九-11人)

個人演説会で候補者の話に耳を傾ける支持者=佐世保市内

 「保守系は自民の6人に加えて、元国会議員もいる。7人も通るのか」。佐世保市北部の相浦地区を拠点とするベテランの自民現職は、告示日夜に開いた個人演説会で危機感をあらわにした。
 自民は過去最多となる6人の公認候補が出馬した。元衆院議員の元職もかつて自民に在籍。保守票の奪い合いは激化している。注目されるのは地元の建設会社を母体に選挙活動を展開する新人の動向。「有力者で、こちらの地盤にも食い込んでいる。われわれも手を広げて打って出る」と、ベテラン現職の陣営幹部は息巻く。
 ターゲットとなりそうなのが、近隣の北松地区だ。ここにも長年活動する現職がいるほか、非自民も入り乱れ、目まぐるしく票が動いている。
 市北部周辺の混戦は、南部にも波及している。ある現職は告示後の休日に地盤ではない早岐地区の演説会場を抑えた。先を越された格好となった地元の候補は「こんな屈辱は初めてだ」と憤慨。過去の選挙でみられた一定の“すみ分け”は「完全に崩壊した」。混戦を避けようと、あえて離島に先回りをして票固めをした陣営もある。一方で「切磋琢磨(せっさたくま)すれば全体の保守票は伸びる。全員生き残ることは可能だ」とみる向きもある。
 女性候補の争いも過熱気味だ。現行の選挙区となって初めて複数の候補が立ち、3人が争う。
 社民新人は、30日夜の個人演説会で「女性の視点を政策に反映させることが重要だ」とアピールした。県と佐世保市が計画する石木ダム建設反対を前面に打ち出す共産も女性の新人を擁立。党幹部は「親しみやすく、有権者の反応はいい」と手応えを口にする。
 迎え撃つ国民民主の現職は出陣式で「女性の政治参画はいい方向に進んでいるが、私自身は厳しくなる」と複雑な表情。元農相の父が応援に駆け付けたほか、次期衆院選長崎4区に出馬予定の自由党県連代表らも支え、てこ入れを図る。
 このほか、公明現職は、前回トップだった得票数を上回る1万5千票を目標に掲げ再選を目指す。
 多くの候補が当落線上にあるとみられる佐世保市・北松浦郡区。複数の陣営は、上位の得票数が伸びれば、前回よりもボーダーラインが下がると予想し、こう続ける。「明暗を分けるのはわずかな差だ」

◎立候補者
 
(届け出順)
山下 博史 44 自新
堤  典子 61 社新
宮本 法広 46 公現 (1)
山田 朋子 47 国現 (3)
宮内 雪夫 85 自現 (12)
外間 雅広 60 自現 (3)
田中 愛国 74 自現 (6)
宮島 大典 55 無元 (1)
溝口芙美雄 71 自現 (4)
吉村  洋 62 自現 (2)
安江 綾子 42 共新

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