【打浪優#3】チーム愛、世界という目標・・・Tリーグが与えてくれた『成長の糧』

写真:打浪優/撮影:ラリーズ編集部

日本ペイントマレッツ所属、『現役女子大生Tリーガー』として注目を浴びる打浪優。入団当初は右も左も分からなかった打浪だったが、今ではチームになくてはならない存在となった。

打浪にとって、日本ペイントマレッツ(以下ニッペM)は一体どのようなチームなのだろうか。思い切って飛び込んだTリーグという世界は、ファーストシーズンを振り返った今、どのように映っているだろうか。最終回となる今回は、まっさらな目で日本の卓球新リーグを見つめる、打浪の率直な想いに焦点をあてる。

「シーズンが終わるのが寂しい」

「ニッペMは、本当に仲が良いチームだと思います。国内外の強豪選手が揃ったチームなので、初めは自分がここにいていいのかと悩みました。特に海外選手に対して、言葉の壁という問題もあり、自分がチームでやっていけるのかという不安が大きかったです。ですがどの選手もとても優しくて、同じ目線で話をしてくれる。チームメイトは私の大きな支えになっています」

ニッペMの一員として戦った今シーズンを振り返って、「自分の卓球に対する考え方やプレースタイルが変わった。非常に濃厚で実りある半年間だった」と話す打浪。
チームが既に来シーズンに向けて動き始める一方で、この濃密で充実したシーズンが終わってしまうのを寂しがる姿がそこにはあった。

「ファンの皆さんの温かさをたくさん感じられて、Tリーグに参戦して本当に良かったと思えるシーズンでした。来シーズンもこのチームは続きますが、今シーズンが終わってほしくないという気持ちでいっぱいです」

プロ志向を持たなかった打浪の考えを、ここまで変えることが出来たニッペMというチームの魅力は、一体どんなところにあるのだろう。

「どの選手も、とにかく明るい。負けてもそれに落胆することなく常に前向きですし、試合前に誰かが緊張していると積極的に声を掛け合ってお互いを支えあう。優しさや明るさを持ってる人が多いチームです。たとえば私は、三原監督や、松平志穂選手から『試合の時の表情が固すぎる!もっと笑っていいんだよ~』と言われることが多いです。こんなふうに、チームメイトを気にかけて空気を明るくする人が多いのは、このチームの魅力であると同時に、大きな強みだと思います」

世代や国境を越えて、チームメイト同士が支えあい、士気を高めあう環境が、今の打浪を育てていると言っても過言ではないだろう。貪欲に成長を求め続ける打浪にとって、日本ペイントマレッツに所属することは必然だったのかもしれない。

写真:打浪優/撮影:ラリーズ編集部

ストイックさとのギャップ プライベートは等身大の女子大生

大阪を拠点に活動するチームに所属していることもあり、今は兵庫の実家で家族と一緒に暮らしながら練習や試合に励んでいる打浪。幼いころ通っていた地元のクラブチームには、今も頻繁に顔を出すと言い、周囲に感謝を忘れず初心を大切にする姿が印象的だ。そんな打浪に、来シーズンを含め2019年をどんな年にしたいか聞いた。

「2019年の目標は全日本社会人卓球選手権でベスト8に入ること。ベスト8に入ることが出来たらワールドツアーも見えてきます。今年はワールドツアーに出場したいので、これを目標に掲げています。欲を言えば社会人で1番の選手になりたいです。今シーズンを終えて感じた課題は、まだ体のブレが目立つのでそこを強化する必要があるということ。体幹の強化を図るため、今年は徹底的に体を作りたいです」

どこまでもストイックに卓球に向き合う打浪。日夜、練習に試合にと忙しい選手生活を送る女子大生Tリーガー打浪を支える、プライベート模様は一体どのようなものだろうか。

「高校生の頃から、AAA(トリプルエー)が大好きなんです。特に好きなメンバーは、Nissy(西島隆弘)と宇野実彩子さん。試合前は必ずと言っていいほど曲を聞きますし、カラオケでも歌います。ライブも見に行きます。女性メンバーの伊藤千晃さんが脱退した時は、試合の合間を縫って最後のトークイベントにも行ったほど」と、一人のAAAファンとして思いの丈を熱く語ってくれた。

他にも、「体づくりの為に自分にお菓子禁止令を出しているけれど、プリンが大好き(笑)」「オフシーズンの休日は、卓球友達と一緒にUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)に気分転換をしに行きます。好きなキャラクターはキティちゃん」などと屈託なく話す。試合中は感情を露にした気迫あふれるプレーを繰り広げる若き勝負師も、試合が終われば、好きなものを「好き!」と幸せそうに話す、ごく普通の女の子という一面も持っている。

若くして才能に溢れ、ストイックに成長を求め続けるプロフェッショナルアスリート、打浪優。まだまだ大学生、これからも多くの伸びしろがあるだろう。2019年はワールドツアーにも打って出たいと語っていた打浪。日本ペイントマレッツのますますの躍進と共に、個人の打浪優というプロ選手の進化からも目が離せない。(了)

文:戸澤しおり(ラリーズ編集部)

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