消防も働き方改革 平日限定「日勤救急隊」相模原で創設

2日に活動し始めた日勤救急隊の隊員(相模原市提供)

 相模原市消防局は、平日の日中時間帯だけ活動する「日勤救急隊」1隊を創設し、2日に運用を始めた。育児などで24時間勤務が困難な隊員の活用とともに、増加傾向にある救急需要に対応することも目的としている。県内では同市のほか横浜市でも導入されているが、働きやすい職場づくりへの動きが救急の現場にも広がるか注目される。

 相模原市内には18消防署に救急隊が置かれており、3人1チームが交代制で任務に就いている。24時間勤務のため、育休後や育児中の隊員が救急隊の活動に従事することは難しく、育休明けの隊員が別の部署に移るケースも多い。

 こうした職場環境を改善し、多様な働き方を実現しようと、市消防局は、運用時間を平日(祝日などを除く)の午前8時半から午後5時15分までに限定した日勤救急隊を創設。相模原消防署本署(同市中央区中央2丁目)に配置した。

 1チームは6人編成で2人が女性。6人のうち1人が現在育休中という。英会話が堪能な隊員を1人置き、今後増加が見込まれる外国人搬送者にスムーズに対応できるようにもした。

 また、4人が救急救命士の有資格者。このうち1人は救急救命士を指導する指導救命士の資格があり、他の隊員の教育や指導にもあたるという。

 創設の背景には、高齢化などで救急出動が増え続けている実情もある。

 同市消防局によると、2018年の市内の救急出動件数は3万7498件で、17年から4.5%増加。猛暑による熱中症と冬のインフルエンザなどが主な要因とみられる。増加傾向はここ数年続いており、13年の3万3688件から5年間で約3800件、11.3%も増えている。

 導入例はまだ少ないが、県内では横浜市消防局が昨年4月から試行的に2隊を配置しているという。相模原市消防局は「本署の救急隊はひっきりなしに出動しており、出動中にに次の救急要請が来ることも多い。日勤救急隊の配備で、現場への到着時間が短くなることが期待できる」と話している。

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