クレジットカードの入手方法は? / 病院に行くのに保険が必要 / 住宅ローンを使って家購入! ニューヨーク暮らしベーシック情報③

銀行口座の開設
アメリカで生活する上で欠かせない銀行口座開設。日本では利用することのない、チェッキングアカウントがある。
監修: 渡部(牛島)有貴子さん
Citigold Private Client Relationship Manager / citi.com

チェッキングアカウント
アメリカでは、ショッピングをはじめさまざまな場面でクレジットカードやデビットカードを利用するが、家賃やセキュリティーデポジットなど住居に関連した支払いは、パーソナルチェック(個人用小切手)での支払いを求められることが多い。チェックの使用を可能にするには、銀行でチェッキングアカウントを開設することが必要となる。通常、州発行の身分証明書(運転免許証やIDカード)とソーシャル・セキュリティー・ナンバーの提示が必要となる。チェッキングアカウントで決められた最低入金額、月々の手数料、1カ月に発行できるチェックの枚数などは銀行ごとに異なる。日本でいう普通預金口座に当たるセービングアカウントと連結しているものや、学生やシニア向けに手数料の安いプラン、給与や年金を直接指定の口座に振り込むダイレクトデポジットを利用すると、手数料が無料になるなどの特典を用意している場合もある。また、通常チェッキングアカウントに利子は付かないが、一定額以上の残高を維持することで利子の付くプランもある。

利用の際は残高を超えてチェックを切らないこと。チェックが不渡りになると、「オーバードラフトフィー」と呼ばれる手数料を払うことになる。また、何度も不渡りチェックを発行すると、クレジットヒストリーに「バッドレコード」が記録され、ローン申請やクレジットカード取得の際に支障が出ることもある。不注意による不渡り防止システムとして、「オーバードラフトプロテクション」や、セービングから自動的に不足分を移動させるサービスもある。

セービングアカウント
貯蓄を目的として開設する口座は、大きく分けて2種類、いつでも自由に預金の出し入れができるセービングアカウントと、日本の定期預金と同様、一定期間の出し入れが制限されるタイムデポジットがある。

後者の最大の特徴は、セービングアカウントが変動金利であるのに対し、固定金利で、金利そのものもセービングアカウントに比べ高めに設定されていること。また、マネーマーケットアカウント(MMA)という、通常のセービング同様自由に出し入れができるが、金利がセービングより高くなるものもある。ただし、最低入金額が高く設定されている場合もあり、口座開設にあたり、まとまった資金が必要となるのが一般的。

小切手/ATMの利用法
日本では個人が利用することが少ない小切手だが、アメリカでは「チェック」と呼ばれ、日常生活で利用する機会は多い。
監修: 渡部(牛島)有貴子さん
Citigold Private Client Relationship Manager / citi.com

小切手
チェッキングアカウントを開設した後、パーソナルチェックがつづられたブックを注文、購入すると、自分の名前と住所が印刷された小切手が数日で送られてくる。小切手にはパーソナルチェックのほかに、支払い保証(オフィシャルチェック)が付いたものがある。小切手の左下にある番号は、ルーティンナンバー(Routing number)、チェックナンバー(Check number)、アカウント・ナンバー(Account number)の三つ。表示は銀行によってチェックナンバーとアカウントナンバーの順番が逆の場合もある。ルーティンナンバーはアメリカの銀行コードで、自動引き落としなどをする際に必要となる。書き方は、日付(月/日/年の順)を書き込む。基本的には書き込んだ当日の日付を記入すること。次に、「Pay to the order of」の欄に、支払う人、会社などを明記する。またその下のラインに、支払い金額を英語で書き込む。435ドル支払いたいときには、「Four hundred thirty five and 00/100」と書く。00/100は、セントを表しており、たとえ金額がぴったりだとしても、セントまで記入する必要がある。「Pay to the order of」の右横にある枠には、先ほど書いた金額を数字で書き込む。書き直しや訂正をした小切手は使えないので、必ず新しく書き直すこと。最後に、パーソナルチェックの一番右下にある線上に、銀行を開設したときと同じサインをする。オプションで、左下にある「memo」に、チェックを渡す人へのコメントを書き込むこともできる。

ATM
銀行口座を開設すると、ATMカードが送られてくる。ATMを利用すれば、現金、小切手の入金や引き出し、口座間のお金の移動、残高照会ができる。操作方法は、まずはATMマシーンの所定の位置に、カードを挿入。画面の指示に従い、(通常4桁の)暗証番号を入力。現金引き出し(Withdraw)や入金(Deposit)、残高照会(Inquiry)など取引の種類を選択。現金引き出しをする際には、目的の口座(チェッキング、セービング)などを選び、最後に、利用明細が必要であれば、印刷または画面確認のいずれかを選ぶ。近年は各銀行がスマートフォンアプリを提供していて、利用履歴の閲覧、残高照会はもちろん、口座間のお金の移動、小切手の入金などもアプリ上で可能となっている。

クレジットカード
アメリカの日常生活に必須といえるのがクレジットカード。取得方法、使用方法、返済方法を紹介する。
監修: 今村由梨さん
Prestige International USA, Inc. / premio.com

クレジットヒストリーとスコアアメリカの日常生活では、住居の賃貸や携帯電話の利用をはじめ、さまざまな契約の際に、クレジットヒストリー、クレジットスコアを求められることが多い。クレジットヒストリーとは、クレジットカードを使用しての購入、返済の過去の履歴を示す信用情報のこと。これを統計学的に数値化したものがクレジットスコアで、アメリカでは個人の経済状況を示す一つの指標とされている。スコアの数値は、算出する会社により若干の違いがあるが、一般的に300から850の間で設定される。基本的にはスコアは高いほどよいとされる。ただし、買うものや契約するものによって、必要とされるスコアがあるので、それぞれのスコアを満たしていることが重要とされる。

取得
クレジットカードを取得するには、アメリカ国内に居住し、当地のクレジットヒストリーがあり、スコアも一定以上であることが条件とされ、ソーシャル・セキュリティー番号も必要となる。また勤務先、収支のバランス、家賃などの情報も尋ねられる。日本でクレジットカードを取得し利用していても、当地でのクレジットヒストリーには反映されない。クレジットヒストリーがない人は、セキュアードカードを作ることになる。これは銀行が担保(デポジット)を取って発行するカードで、例えば500ドルを担保として銀行に預け、その額内で使うというもので、返済できない場合、担保が支払いに充てられる。返済をしていると一般のクレジットカードに切り替えてもらえる。また来米間もない人を対象に、プレミオカード(premio.com)のように、日本の信用履歴情報をもとにクレジットカードを発行する日系カード会社もある。

返済
アメリカの場合、最良の方法は一括払いとされるが、一括で返済できない場合、契約時に決められた方法で算出される最低金額を期日までに返済すればよいシステム。借りている残金に対しては、決められたAPR(年利率/Annual Percentage of Rate)にのっとり利子が付く。最近は直接的なカード盗難の被害よりも、カード情報が流出し、不正利用の被害に遭う方が多い。心当たりのない利用があった場合は、異議申し立てを行えば代金の支払い義務は発生しない。

アメリカの保険
アメリカの保険は、健康保険(Health Insurance)、生命保険(Life Insurance)、損害保険(Property & Casualty Insurance)、大きく分け三つのカテゴリーに分類できる。
監修(医療保険): 堀川智里さん
日米ソーシャルサービス(JASSI)/ TEL: 212-442-1541(内線1)/ jassi.org
監修(生命保険、損害保険): ジェームズ・ナム会計士
AA & TC, Inc. / TEL: 212-594-0074 / aantcinc.com

医療保険
病気やけがなどの治療をカバーする医療保険(Medical Insurance/ Health Insurance)の他、歯科保険(Dental Insurance)、眼科保険(Vision Insurance)などがある。歯科保険は歯の治療や予防、眼科保険は眼鏡やコンタクトレンズ代など限られた部分をカバーする。「オバマケア」(the Patient Protection and Affordable Care Act)は、国民の保険加入率を向上させることを目的に制定された。連邦での国民加入義務は2019年からはなくなったが、州ごとの加入義務がある場合もある。各州がマーケットプレイスと呼ばれるウェブサイトを展開し、医療保険プランを見比べて、購入することができる。支払った保険料は税控除の対象となり、タックスリターンの際に申請し、受給資格を満たせば、連邦政府が保険料の一部を肩代わりする。

生命保険

生命保険は掛け捨て型(Term Life)と積み立て型(Permanent Life)に大別できる 。掛け捨て型は通常10~20年の期限(Term)があり、その期限中に被保険者 (Insured)が亡くなると死亡保険金(Death Benefit)が受給者(Beneficiary)に支払われる。「掛け捨て」は保険料の支払いを止めると保険が失効する。積み立て型ではキャッシュバリュー(Cash Value)と呼ばれる生命保険の口座に積み立てたお金があり、保険料の支払いを一時停止しても即座に保険が失効することはない。積み立て型にはさらに終身型(Whole Life)、ユニバーサル型(Universal Life)、変額型(Variable Universal Life)などがあり、口座の中で貯蓄や投資ができる。また積み立て型では、キャッシュバリューを利用して子供の教育資金や自分の老後の蓄え、または相続対策にも使うことができる。老後に備える生存保障には「Annuity」と呼ばれる年金保険があり、介護保険は「Long Term Care」という商品がカバーする。入院保障は医療保険の範囲であるため、生命保険は関与しない。

損害保険
アメリカの損害保険には自動車保険、住宅保険、雇用者傷害保険、業務上の保険、船舶海上保険、医師の瑕疵(かし)責任保険など、種類は非常に多岐にわたる。いずれも専門性が高いため各部門の専門家に相談することが勧められる。

「日本の大手保険会社が提供しているので何か起こった際の対応も安心です」と語る加入者の堀古英司さん。ウェブサイトからメールアドレスを登録すると保険の詳細が送られてくる

海外ビジネス協力会
海外で活躍する日本人を支援
医療に特化した保険を提供

海外ビジネス協力会は、日本の保険代理店が立ち上げた、海外で活動する日本人ビジネスパーソン支援を目的とした団体。同団体の目的の一つは、団体として契約をして、アメリカ在住の日本人が医療保険に安価で加入できる仕組みを作ること。保険は海外旅行保険と違い、必要のない保障を省き、医療に特化したものとなっている。「アメリカの医療保険の保険料は基本的なものでもかなり高額で、当地で活動する多くの日本人にとっては悩みのタネです」と話すのは、同会加入者で、ホリコキャピタルマネジメントLLC代表の堀古英司さん。さらに堀古さんは、「団体を通じて社員全員が加入しており、月々の保険料は以前の3分の1になりました。基本的に広く医療機関でもカバーされますし、日本の大手保険会社が提供しているので何か起こった際の対応も安心です」と語る。保険加入資格は日本のパスポート保持者(日本に住所がなくても加入できる)。加入手続きは日本出国前に行う必要があり、アメリカ在住者は一時帰国の際に日本出国日を保険開始日として加入することになる。日本に一時帰国中も90日以内であればカバーされる。最長2年まで継続が可能。ウェブサイトからメールアドレスを登録すると、保険の詳細が送られてくる。

kaigaibusiness.org

住宅ローン(モーゲージ)
当地で不動産を購入する際に利用する、住宅ローン(モーゲージ/Mortgage)について紹介する。
監修:渡部(牛島)有貴子さん
Citigold Private Client Relationship Manager / citi.com

モーゲージの基本
一般的なローンは、担保がない場合、個人で銀行から大きな額を借りることは難しいが、住宅購入の場合は、初めての物件購入でも、物件自体が担保となる住宅ローン「モーゲージ」を組むことができる。アメリカ居住者(アメリカ市民権保持者、永住権保持者、就労ビザで一定期間以上アメリカに滞在している人)の場合は、アメリカ国内で収入を得ていること、クレジットヒストリーがあることなどが必要条件となる。

種類
モーゲージには「固定型」と「ARM(Adjustable-Rate Mortgage)型」と呼ばれる変動型の2種類ある。「固定型」には、10年、15年、20年、30年などの種類があり、固定された期間内に固定された金利で返済する。一方、「ARM型」は全て30年ローンで、10/1 ARM、5/1 ARMなどと表記される。例えば、「10/1 ARM」は、最初の10年間は固定金利で、その後は1年ごとに金利が見直される、ということを表している。

プロセス
モーゲージを組むプロセスは次の通り。①その人の資産、借金、収入などの経済状況やビザのステータスなどから、その人がいくらお金を借りることができるかを書いた「プレアプルーバルレター」を銀行から出してもらう
②不動産エージェントに相談し購入したい物件を見つける
③物件が見つかったら、プレアプルーバルレターを添付し、物件購入のオファーを入れる
④オファーが受理されると、売り手側の弁護士から契約書が送付される
⑤買い手側の弁護士が書類を確認
⑥問題なければ、売り手と買い手が売買契約書にサイン
⑦銀行などにモーゲージの申し込みを行う
⑧60日以内(通常クロージングに要する日数)にクロージングできる見通しが立った時点で、金利をロック
⑨すべての書類、条件がクリアになったら、モーゲージ確約のレターが買い手に送られる
⑩売り手と買い手が、双方の弁護士、銀行、不動産エージェントなどの立ち会いのもとでクロージングの契約書にサインし、売買契約が完了(クロージング)する。

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