車の免許どこで取る? / 街を自由に移動するには・・・ ニューヨーク暮らしベーシック情報④

運転免許の取得
都市部では公共の交通機関を利用できるが、郊外の生活では車の利用は必須だ。アメリカでは運転免許は身分証明証書として利用する機会も多い。
監修: 大塚豊さん
Fuji Driving School / TEL: 212-661-0434 / fujidrivingschool.com

取得までの流れ
運転免許証は、居住する州のDMV(Department of Motor Vehicles/ニュージャージー州ではMotor Vehicle Commission)で取得する。基本的には、筆記と路上試験を受けるが、制度は州で異なる。ニューヨークでは、国外の運転免許証の保持者への試験の一部免除措置はない。申請にはDMVが求める各項目に対して証明書類を提出する。項目は生年月日の証明(パスポートなど。日本のパスポートの場合は有効なビザとI-94)、ソーシャル・セキュリティー・カード、州住民である証明(電気代請求書、給与明細など2点)、身分証明(銀行カードなど)。有効な書類はウェブサイトで事前に確認すること。またDMVでは身分証明のみを目的とした(Non-driver Photo ID Card)も発行している。ただしこれまでの「Standard」は2020年10月1日以降、国内線の飛行機に搭乗する際などに身分証明書として利用できなくなるため、DMVは連邦政府が定める「Real ID」の申請を推奨している。

試験
筆記試験は予約不要で、DMVに行った日に受験できる。選択式の質問20問中14問以上の正解で合格。日本語での受験も可能。予想問題はDMVや自動車学校のウェブサイトに掲載されているので、事前に勉強しておくこと。筆記試験に合格し、視力検査にパスすると、5年間有効の仮免許(ラーナーパーミット)が2~3週間後に郵送されてくる。免許証を持つ21歳以上の同乗者がいれば、州内の公道での運転練習が可能になる。ニューヨーク州では5時間の講習の受講が義務付けられており、講習は自動車学校などで開講されている。路上試験は、DMVが提示する日時・場所から選ぶ。希望の日程、場所が提示されていなければ、提示されるまでウェブサイトをチェックするか、電話で確認する必要がある(必ずしも希望日、場所で予約が取れるとは限らない。またニューヨーク市内、およびウェストチェスターの場合、取れる予約は約4〜5週間後)。試験に使用する車は家族、知人や自動車学校などの車を自分で手配する。この際、ラーナーパーミットや5時間講習修了証のほか、使用する車の登録証や車検証も持参すること。路上試験では試験官の指示を正確に理解し、きちんとそれに従うことが大事。試験に合格すると暫定免許が渡され、約2週間後に正規の運転免許証が送られてくる。

・NY DMV: dmv.ny.gov
・NJ MVC: state.nj.us/mvc

自動車の利用
自動車の利用、入手する手段も、新車、中古車の購入だけでなく、リースも選択肢として一般的。
監修: 市村知広さん
Wish Auto / TEL: 914-381-0012 / wishauto.com

リース
アメリカでは自動車を所有する際、購入に限らず、新車のリースも一般的な選択肢として考えられる。新車のリースは、ディーラー、またはリースを専門とする会社で契約ができる。リースは3年ごとの契約が一般的。自動車は基本的に乗っている年数、走行距離が長くなるのに伴い、故障の発生率も高くなるため、新車に2~3年ごとに乗り換えれば、そうした心配が少なくて済むというのがリースの利点。最初に頭金(車の価格の20%程度)を支払い、その後は月々のリース料を支払っていく。購入より安いというよりも、一時金としての出費が抑えられるのが利点となる。ただし、クレジットヒストリーによってはリース料が高くなったり、リースができないというケースもあるので、事前に確認すること。メンテナンスは基本自己負担となるが、車種によってはリールの料金にメンテナンスサービスが含まれるものもある。所有するわけではないため、契約終了時には購入時の状態に戻す必要がある。そのためカスタマイズなどを施しても、無駄になってしまう。また途中で契約を破棄する場合は契約期間の支払額を満額で払うことになるので、日本への帰国時期が決まっている場合は事前に考慮して契約すること。またリース契約の場合、利用期間だけでなく、年間走行距離のキャップ(制限)も設けられる。年間の走行距離のキャップは一般的には1万マイル程度で、それを超えると追加料金が発生する。リース車を遠方への通勤用として、また企業の営業車などとして使用する場合は、年間走行距離がキャップを超えると予想されるので、リースではなく購入を検討した方がよい。

購入
自動車の購入にはアメリカの運転免許が必要。新車、中古車の購入はディーラーを通じて行うのが一般的。購入に自動車ローン(ファイナンス)を利用する場合は、申請にクレジットヒストリーが必要。中古車を選ぶ際は、信頼の置けるディーラーに相談して購入すること。アメリカで販売される車は全て車体番号(VIN)が付けられていて、ウェブサイト(carfax.com、autocheck.com)で、番号から車の登録場所、過去の所有者人数、走行距離、事故記録、レンタカーとしての使用記録などが分かる。車社会で、中古車が多いアメリカでは、特に滞在期間が限られる場合、必要年数で安心して乗れるものを選べば、ワンランク上の車種に乗れるのが魅力とされる。

市内の移動/交通機関
アメリカの日常生活に必須といえるのがクレジットカード。取得方法、使用方法、返済方法を紹介する。
監修: 今村由梨さん
Prestige International USA, Inc. / premio.com

地下鉄
ニューヨーク市内では、MTA(The Metropolitan Transportation Authority)が運営する地下鉄(Subway)が整備され、利用者は年間のべ17億人以上(2017年、MTA調べ)。文字通り市民の足となっている。数字やアルファベットで示された25路線が、市内の472駅を結んでいる。路線により急行(Express)と各駅停車(Local)があり、24時間運行している。ただし天候、工事、イベントなどにより、運行ルートやスケジュールの変更、運休が平日、休日問わず頻繁に起こるので、駅構内やホームの掲示板に貼られた情報を見ておくこと。マンハッタン内では、「Uptown(北行き)」と「Downtown(南行き)」があり、路上から駅への入り口がそれぞれの方向専用という場合が多く、構内で行き来ができないことが多いので、行き先を確認してから改札を通ること。乗車には、駅構内の券売機で、シングルライド(1回乗車分の紙の切符)、または金額を補充して使うメトロカードを購入する。2019年4月現在で、シングルライドは3ドル。1ドルでメトロカードを購入して使う場合は、1回分の運賃は2ドル75セントと割引となる。また7日間(33ドル)、30日間(127ドル)乗り放題のメトロカードも駅の券売機で購入することができる。改札を通過する際には、切符、メトロカードともに、カードリーダーにスライドさせて、ターンバーを押して入る。各駅には駅員が24時間常駐しているブースがあるので、何か問題があるときは、駅員に相談するとよい。

バス
マンハッタン、クイーンズ、ブルックリン、ブロンクス、スタテンアイランドの5区を走るニューヨークのバスは、各駅停車や急行などを含め300以上の路線が運行している。路線名はアルファベットと数字で表示されていて、アルファベットは5区の頭文字を表わす。また、平日のラッシュ時にはマンハッタンと他区を結ぶエクスプレスバスが運行されている。バスへの乗車は、アイコンと路線名が表示された標識のあるバス停で待つ。運転席横にある機械に現金を入れるか、またはメトロカードを挿入する。降車する際には、手すりにあるストップボタンか、窓のふちにあるテープを押し、後部ドアを使用する。料金はメトロカードを利用する場合は、地下鉄と同じ。現金で支払う場合、1回分の運賃は3ドル、メトロカード利用は2ドル75セント。またエクスプレスバスは6ドル75セント。

タクシー
マンハッタンの象徴ともいえるイエローキャブは24時間走っている。

車体の上部にあるランプが付いているのが空車で、手を上げて停める。乗車してから、行き先を告げる。正確な住所を告げても良いが、目的地を交差するストリートやアベニューを教えてもよい。支払い方法は、現金、クレジットカード、デビットカード。支払いの際にはレシートをもらっておくとよい。レシートにはタクシーの登録番号が記入されており、車内に忘れ物をした際の問い合わせや苦情を報告する際に役立つ。

初乗り料金は2ドル50セント。それに、ニューヨーク州税として50セントが加算される(2019年3月現在)。1/5マイルごとに50セントが加算されていくシステム。夜間(午後8時から翌日午前6時まで)は50セントの、平日のピーク時(午後4時から午後8時まで)は1ドルの追加料金が課される。橋やトンネルを通る際には通行料(Toll Fee)が料金に加算される。チップはメーター料金の15~20%を目安にして支払う。

またJFK国際空港とマンハッタン間は基本料金が52ドル(その他に州の税金やラッシュアワー料金などが加算される)に設定されている。それ以外の区は通常の料金が適応。ニュージャージー州にあるニューアーク・リバティー国際空港への往路にはメーター料金以外に、17ドル50セントの追加料金が請求される。

イエローキャブ以外に、ニューヨーク市内のマンハッタン以外(96ストリート以北は除外)で客をピックアップすることが許可されているボロキャブがある。ボロキャブのタクシーは車体が緑で、イエローキャブと区別されている。

配車サービス
タクシー以外の配車サービスとして、スマートフォンアプリなどを利用するUber、Lyftなどのほか、リムジンサービスなどがある。

Uber、Lyftなどを利用する場合は、スマートフォンアプリを事前にダウンロードし、クレジットカード情報などを入力しておくこと。ピックアップしてもらう場所と行き先を指定して配車予約をして、降車時に料金精算を行う。

リムジンサービスは事前に配車を手配する完全予約制で、料金の支払いは予約時などに行う。予約はリムジン会社のウェブサイトから、または電話で行う。出発地と目的地の住所、ピックアップの日時、乗客数、荷物の数、希望する車の種類を伝えること。料金は各会社や希望する車の種類によって料金システムが異なるので事前に確認すること。

レンタルシェアバイク
2013年に登場したレンタルバイクのシステムで、19年3月現在、利用可能な自転車(バイク)は1万2000台、専用ドック(駐輪場)は市内および近郊で750カ所ある。利用可能なエリアは、マンハッタンはハーレムを北限にほぼ全域、ブルックリン、クイーンズの一部、ニュージャージー州ホーボーケン、ジャージーシティーの一部。専用ドックにあるバイクを番号を使って解除し、規定の時間内(30分。年間パス所有者は45分。遅延すると15分ごとに4ドル追加料金)に別の(あるいは同じ)場所の専用ドックに戻す。スマートフォンアプリまたは専用ドックにある券売機で利用期間を選び、料金をクレジットカードで支払う。1回3ドル、1日パス12ドル、3日パス24ドル、年間パスで169ドル(それぞれ税別)。

郊外への交通機関
MTAおよび子会社が運営する交通機関は、ニューヨーク市を起点に、アップステートへのメトロノース鉄道、ロングアイランドへのロングアイランド鉄道、ニューヨーク・ニュージャージー港湾公社が運営するニュージャージー州へのパストレインがある。

メトロノースはグランドセントラル駅始発のイースト・オブ・ハドソン線の3路線と、ニュージャージー州ホーボーケン駅始発のウェスト・オブ・ハドソン線の2路線(路線の中でニューヨーク州の一部のみ)。年間8700万人が利用している。

グランドセントラル駅始発は、ハーレム線(終点: ワセイク駅)、ハドソン線(終点: ポーキプシー駅)、ニューヘイブン線(終点: ニューヘイブン・ステート・ストリート駅、本線のほかに3本の支線あり)の3路線で、マンハッタンに勤務する人たちの通勤電車として利用されている。

ロングアイランド鉄道は、ロングアイランドの東西を結ぶ路線で、市内ではマンハッタン内のペン駅、ブルックリンのアトランティックターミナル駅、クイーンズのロングアイランドシティ、ジャマイカを始発としている。グリーンポートまでの本線のほか、モントーク、ポートワシントン、オイスターベイへの支線が伸びている。

パストレインは市内ではワールドトレードセンター、33St駅が始発で、ハドソン川対岸のニュージャージー州ホーボーケン、ニューアークまでの路線がある。

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