子供が転入する学校は? / 幼児教育どうなっている? ニューヨーク暮らしベーシック情報⑤

義務教育
日米でかなりの違いがある教育制度、義務教育について解説する。

監修: 高橋純子さん(教育コンサルタント)
jtkomet@gmail.com

教育制度

アメリカの義務教育制度と就学期間は全国的に統括しておらず、州、地域や学校によって違う。ニューヨーク、ニュージャージー州では6〜16歳まで、コネティカット州は5〜18歳までが義務教育。学年割は、小学校は1〜5年生(または6年生)まで、中学校は6〜8年生 (または7〜8年生)まで。高等学校は9〜12年生までとなる。ニューヨーク市では5歳からのK(kindergarten=幼稚園年長)からが義務教育となる。

公立学校への入学・編入
ニューヨーク市は各ディストリクトに分けて管理し、それをさらにゾーン(校区)に分けていて、居住地域のゾーン内の公立学校に入学するのが一般的。審査の結果、特に秀でていると認められた子供は、学区を越えて入学を許可される特別なプログラムもある。学齢に達した子供の保護者は、子供の入学手続きを行う義務がある。ニューヨーク市教育局のウェブサイト(schools.nyc.gov)では、住所を入力するとどのゾーンに属するか分かり、入学手続きに必要な情報を提供している。転入希望の場合も、同様に入学を希望する学校で登録申込書などの必要書類を取得し、書類と共に児童の年齢を証明する書類(出生証明書、パスポートなど)、住所を証明する書類2点(光熱費の請求書や住居の契約書など)も提出すること。ただし、必要書類は学校により若干異なるため、あらかじめ確認すること。(growingupnyc.cityofnewyork.us/programs/kindergarten-and-elementary-school)公立学校の運営費は所在地域の固定資産税で賄われるが、多くの学校は連邦補助金などを受けているほか、学校でバザーなどを行い資金を集めている。公立学校は、昼食代などの諸経費以外、学費はほとんど掛からない。私立学校は授業料や寄付などで運営される。高額の学費が掛かる場合もあり、寄付金なども含め経済的負担はかなり大きい。

全日制の日本人学校
ニューヨーク市、および近郊には、全日制の日本人学校もあり、児童は日本と近い環境で学ぶことができる。ニューヨーク育英学園(japaneseschool.org)は小学部まで、ニューヨーク日本人学校(gwjs.org)、ニュージャージー日本人学校(newjerseyjapaneseschool.org)はそれぞれ小学1年から中学3年生までを対象としている。

幼児教育
義務教育前の児童が通える教育機関、保育施設などについて解説。また、日本と違う子供の単独行動についても紹介する。

監修: 高橋純子さん(教育コンサルタント)
jtkomet@gmail.com

デイケア/プリスクール
共働きが多いニューヨーク市内では、生後3カ月程度から子供をナニーか私立のデイケア(保育園)に預けるのが一般的といわれる。ただし、義務教育(ニューヨーク市内ではキンダー=5歳から)ではないため、一般的には費用は高額になる。保育以上の教育を行うプリスクールは2歳前後からのクラスが多い。

3-K ProgramとプリK
3歳を対象としたプログラムは「3-K」クラスがある。ニューヨーク市が公立のプログラムとして全日制で無料、質の高い早期幼児教育をすべての児童に提供することを目標に掲げている。現時点では公立小学校が運営・提供するもの、市教育局の職員が運営するプリK(4歳からのプログラム)が提供するもの、教育局から援助を受ける私立の「NYCEECs」が提供する無料のものがある。市教育局のウェブサイトから入学が可能な学校を探すことができる。現在限定されたディストリクトで開校し、その住民の入学が優先されるが、誰でも申し込みができる。4歳からの「プリK」は、義務教育ではないが市内全ての児童分の受け皿が原則用意される。市教育局の調査によると、現在、プリK(半日、全日)に通う児童は7万1500人程度。無料で通えるプリK選択肢は、3-Kと同様。日本人にとっては、ニューヨーク市内近郊の日系の幼稚園や補習校を選ぶというチョイスがある。市内には、一例として、たんぽぽ幼稚園(3~5歳、japaneseschool.org)、リセ・ケネディ(3~5歳、jp.lyceumkennedy.org)、あおぞら学園(0~5歳、aozoragakuen.com)などがある。

ベビーシッター
日米では児童保護法の規定が違い、小学生以下の子供を一人で公共交通機関を使って通学させたり、子供だけで留守番させると、親の責任放棄、児童虐待と疑われ通報される場合もある。親の不在中や通学などには、ベビーシッターを雇い、同行させるのが一般的。単独行動が可能な年齢は州法で明記されていない。心配が生じた場合は、ニューヨーク州の児童保護局などに相談すること。
(参考=ニューヨーク市教育局: schools.nyc.gov

フレンズアカデミーでは、全日制たんぽぽ幼稚園の他、親子クラス、平日や週末の日本語クラスなど年齢や目的に応じて入学できるクラスを数多く提供している

ニューヨーク育英学園 フレンズアカデミー

日本と米国それぞれ良さ取り入れた保育実践
自分で考える力持つ児童を育てる

フレンズアカデミーが運営する全日制たんぽぽ幼稚園(対象は3歳~5歳)は、日本の幼児教育要領に準拠しながら、アメリカの幼児教育のカリキュラム、教材も積極的に取り入れた保育を実践しているのが特徴。

同校では、日本的な集団活動や生活様式を体験しながら、日常の中で、アメリカの幼児教育カリキュラムに導入されている、自然科学などの学習も行う。暗記や知識の詰め込みではなく、自らの思考につながる知性を育てることに重点を置く。そのため机上ではなく、日常や遊びの中からアカデミックな要素を引き出し、対話を通して、子供たちが自ら発見し、疑問を持ち、理解を深められるよう教師が指導している。

生活の中でさまざまなことに疑問を持ち、たくさんのことについて知りたいという心を持つ「知りたがり屋」、失敗を恐れずに何事にも果敢に挑戦してみたいと考える「やりたがり屋」、さらには、分かったこと、疑問、発見したことをたくさんの人に伝えたいと思う「話したがり屋」を育てることが同校の理念。

同校は関連施設として、ニュージャージー州に幼児部、および小学部の全日制部門、現地校在籍者のための補習授業校部門(ニュージャージー州、マンハッタン、ニューヨーク州ロングアイランドに設置)、サマーデイキャンプ、スキーキャンプを開催している他、各種検定指定会場にもなっている。

310 W. 103rd St., New York, NY 10025
TEL: 212-935-8535
friends.nyikuei@gmail.com | JapaneseSchool.org

新しい椅子、机が配置された新教室では、生徒たちが心地よく静かに学習している

Kumon Math & Reading Center Midtown East II

自学自習の習慣を
日本語で公文式

日本語による公文(くもん)教室。個人の能力に合わせて、自学自習で教材を利用して学習する習慣を、幼児を含む低学年から身に付けさせる指導を行う。幼児コース、普通コースとも1教科175ドル。同校担当者は、「個人別、能力別の公文教材の学習『公文式』は、1カ月学習して効果がすぐに現れるというものではありません。じっくり落ち着いて、まずは1年は続けて学習することをお勧めします。入会の説明と、『学力診断テスト』を随時行っています。まず、お電話でご予約ください」と話す。

900 1st Ave., #3 (bet. 50th & 51st Sts.), New York, NY 10022
TEL: 347-882-3914
kumon.com/midtown-east-ii

分からない問題の解き方や答えを教える直接的な指導はせず、効果的にヒントを与えながら、自分の力で解決できるよう「自立学習」を目指した指導を行う

みらい塾

ムリなく! ムダなく! 楽しく!
定着を重視した指導

遊び感覚で取り組めるオリジナル学習プリント、パソコンやiPadを使ったネット教材「ショウイン学習システム」、さらに厳選した教材の3方向から、読み書き学習にアプローチし、総合的な日本語力の習得に向けて指導する。習熟度に合わせて進む「プライベート」、学年や日本語力の違う子供たちが同じ空間で学べる「セミプライベート」、日本語の理解度でクラス分けした4人までの少人数制「グループ」の中から最適なレッスンを提供する。通塾は月額155ドルから、オンライン家庭教師は月額170ドルから。

MIRAY 109
6352 Saunders St., Rego Park, NY 11374
TEL: 718-896-4729
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