地域のつながり、バケツつなぐ 横須賀、消防から感謝状

物置火災を消火し、感謝状を受け取った(左から)小島さん、出口さん、近山会長

 横須賀市長井の一般住宅で2月に起きた物置火災を、近隣住民がバケツリレーで消火した。物置は全焼したが、隣接する母屋への延焼を防ぎ、けが人もなかった。農家や漁師が多く、昔から地域のつながりが強い地区の住民による連携プレーに、消防署から感謝状が贈られた。

 火災は2月17日午後3時ごろ、同市長井6丁目で発生。農機具などが置かれた木造の物置(約6平方メートル)から出火した。

 近くの飲食店で働く出口美鈴さん(48)は午後3時5分ごろ、立ち上る煙に気付いた。急いでチャイムを鳴らしたり、窓をたたいたりして、母屋に住む女性を避難させ、付近住民に大声で知らせた。

 近くの畑にいた農業小島一重さん(57)も煙に気付き、駆け付けた。地元消防団に所属していた経験を生かし、敷地内の蛇口に付いていたホースで、物置に放水した。

 出口さんの声を聞き付け、住民も次々に集まり、自宅からバケツを持ち寄って協力して水を掛けた。119番通報を受け、市南消防署の消防隊が到着した頃にはほぼ消し止められ、午後3時25分ごろに鎮火した。

 18日に同消防署西分署(同市長坂)で感謝状の贈呈式が行われ、出口さん、小島さんに加え、地元の漆山町内会の近山通正会長(77)が出席した。

 同消防署によると、火災のあった日は、市内に乾燥注意報が発令されており、延焼の危険性が高かった。出口さんは「すごい炎が出ていてパニックになったけれど、バケツリレー中に『鎮火したよ』と言われ、安心した」、小島さんは「他の人たちの協力もあり、火を大きくせずに済んで良かった」とそれぞれ振り返った。

 代表して感謝状を受け取った近山会長は「みんなが顔見知りで、年中協力し合っている地域。普段の心積もりが生きた」と喜び、「地震や津波などの自然災害でも、力を合わせられるよう心掛けたい」と気を引き締めていた。

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