夏の決戦にらみ 三者三様 長崎県議選 貢献度に不満の声も 参院選出馬予定の3氏

県議選であいさつや演説、街頭活動をする(右から)古賀氏、白川氏、岩永氏。

 今夏の参院選の前哨戦に位置付けられている統一地方選。参院選長崎選挙区(改選1)には今のところ、2期目を狙う自民現職の古賀友一郎(51)、国民民主新人の白川鮎美(39)、共産新人の岩永千秋(65)の3氏が出馬の準備を進めている。各氏の県議選への貢献度はどうだろうか。取材すると、参院選への課題も見えてきた。
 3月29日、県議選で無投票当選した自民現職の事務所に駆けつけた古賀氏。「地道な活動が無投票につながった」と祝辞を述べると急ぎ足で帰京した。総務兼内閣府政務官の公務も抱え、県議選前半の貢献度が低かったのは否めない。古賀氏には身内から「組織力が弱い」「汗を流していない」と厳しい声が相次ぐ。
 自民県議団は現在、2会派に分裂した状態で、県議選では改選後をにらんだ主導権争いが繰り広げられている。会派間の“溝”を象徴するのが、告示前に張られた古賀氏と並ぶツーショットポスターだ。自民県連会長の加藤寛治衆院議員に近い最大会派「自民・県民会議」所属の多くがポスターを作ったのとは対照的に、金子原二郎参院議員、谷川弥一衆院議員に近い会派「自民」の県議らはほとんど作製しなかった。「これで参院選を戦えるのか」。中島廣義県連幹事長は頭を抱える。
 「自民」からは別件で不満が出た。一騎打ちの県議選松浦市区で、加藤氏からの必勝祈願の「為書き」が自民現職だけでなく、加藤氏の元秘書でもある無所属新人の事務所にも張られたからだ。「党公認候補がいるのにいかがなものか」との反発が聞こえる。
 「県議選で溝が深まった」との見方もあり、関係者は「風が吹けば参院選は危ない」と不安げだ。3日昼、県議選で初めて街頭演説した古賀氏は取材に「批判は甘んじて受ける」としながらも、参院選は「党のため皆で力を合わせようというところは共有させてもらいたい」と語った。
 「初めて政界に挑戦する同志。私も応援する」。30日、白川氏は佐世保市・北松浦郡区の社民新人の演説会でそう強調した。参院選で野党結束を図り、票を上積みしたい思惑がある。国民県連関係者は「白川にとっては、わが選挙と同じだ」と説いてみせる。
 白川氏は西彼杵郡、諫早市、島原市などの選挙区を駆け巡り、連日応援に動く。だが、党公認候補によって温度差も漂う。長崎市区では白川氏の応援を知名度不足などから「必要性が薄い」と求めない陣営も。国民推薦の無所属候補陣営は白川氏の応援について「(候補への)メリットはよく分からない」。白川氏自身も「地盤も看板もない。笑顔でイメージアップを図るぐらい」と知名度不足を認め、夏の決戦に向け、浸透に躍起だ。
 岩永氏は1日、長崎市中心部を練り歩き、共産現職の支持を訴えた。「自分の名は売らない。まずは県議選」。党勢拡大に向け黒子に徹する構えだ。

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