巨大な恒星はどのように誕生しているのか。NASAの空中天文台が大質量星の形成領域を撮影

こちらの画像は、ボーイング747を改造したNASAの成層圏天文台「SOFIA」が捉えた星形成領域「W51」の赤外線データを、全天の約4分の1をカバーする「スローン・デジタル・スカイサーベイ(SDSS)」のデータ(白色)と合成したものです。

星間ガスを照らしているのは初々しい星ばかりなのですが、ここW51で誕生している恒星は、いずれも巨大な大質量星です。その中には、なんと太陽の100倍の質量を持つと推定される星まで観測されています。

巨大な恒星は誕生から超新星爆発を起こすまでの間に莫大なエネルギーを放つことで、他の恒星や銀河に対して少なからぬ影響を与えています。しかし、その数が多く理解も進んでいる太陽のような恒星とは違い、大質量星は恒星全体の1パーセントにも満たないほどわずかしか存在していません。そのため、巨大な恒星がどのように誕生し、進化していくのかについては、まだわかっていないことも多いのです。

そこで、SOFIA Science CenterのWanggi Lim氏らによる研究チームは、直径2.7mの主鏡を備える「SOFIA」の反射望遠鏡を使って、およそ17,000光年離れたところにあるW51において誕生した巨大な星々の様子を観測しました。上の画像は、この研究において撮影された「SOFIA」の画像を用いたものです。

詳細な研究はこれからですが、W51で誕生した恒星の年齢はすべて若いものの、生まれたての星から少し成長した星まで、その進化段階には幾らかの差が見られることがすでに判明しています。

恒星は質量が大きくなるほど寿命も短く、大質量星の寿命はおよそ1,000万年程度と言われています。太陽のような恒星と比べて短命なだけに、誕生したタイミングやちょっとした性質の違い、周辺環境からの影響といった理由から、わずかな期間でも成長度合いに差が生じてしまうのかもしれません。

Image credit: NASA/SOFIA/Lim and De Buizer et al. and Sloan Digital Sky Survey
https://www.nasa.gov/feature/sofia-captures-cosmic-light-show-of-star-formation
文/松村武宏

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