移動投票所 五島、対馬を巡回 高齢者の投票機会確保

移動投票所のワゴン車に乗り込み、投票する小島義雄さん(写真中央のお年寄り)=対馬市美津島町島山

 7日の県議選投票日を前に、車や集会所などを利用した「移動期日前投票所」が、五島市と対馬市の小集落を時間限定で巡回している。両市での導入は今回が初めて。人口減や高齢化で立会人の確保が難しくなり、離島や山間部で投票所の統廃合が進む中、交通手段の乏しい高齢者が投票する機会を確保する狙いだ。
 期日前投票ができる移動投票所を巡っては、島根県浜田市が2016年の参院選で、ワゴン車を使い全国で初めて導入。県内でも平戸市が、17年10月の衆院選と同市議選から取り入れている。県選管によると、今回の県議選で導入するのは五島、対馬の2市(平戸市区は無投票)。
 昨年度、投票区の見直しをした五島市。市内の投票所は前回の知事選時(18年2月)の71カ所から、18減の53カ所になった。自宅から投票所までの距離が遠くなったことで、高齢者らの投票率が低下することも懸念されたため、移動投票所を導入した。
 同市の移動投票所は、福江島、奈留島、久賀島の計24カ所を6日までの4日間で巡る。1カ所にとどまる時間は原則2時間。主に、以前投票所だった集会施設などに投票箱が置かれ、地域によっては巡回車の中で投票する。市は対象地区の有権者に、移動投票所の開設時間や場所を知らせるチラシを、事前に郵送して周知した。
 対馬市の投票所も前回知事選から20減の103カ所に縮小。5日までに市内の計18カ所に移動投票所を設置する。4日は、最寄りの投票所までの距離が約7キロに遠ざかった美津島町島山地区にワゴン車が派遣され、お年寄りが次々と車内で期日前投票を済ませた。一度も棄権したことがないという小島義雄さん(98)は「今回も投票できてありがたい」と笑顔。同行した息子の対司さん(54)は「新しい投票所まで車で20分。父には負担になるので、移動投票所が来てくれてよかった」と話した。
 一方、五島市富江町琴石地区の移動投票所で1票を投じた男性(64)は「有権者が数十人しかいない投票所で、立会人が一日中過ごさなくて済むのは良い」と評価しつつ、「(移動投票所が開設される)2時間に仕事や用事が入れば、結局は遠い投票所にいかないといけない」と懸念も示した。

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