絶滅する危険性高まり 野生カンラン 採取禁止 長崎県、全域を保存地域に指定

 長崎県は、愛好者の採取などで絶滅の危険性が高まる恐れがあるとして、自生するラン科のカンランを、県内全域を対象に「希少野生動植物種保存地域」に指定した。3月29日付。勝手に採取すると6カ月以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられる。
 カンランは地生ランで、冬に緑色の花を付ける。国内では本県を含む九州の一部や東海地方、四国など限られた地域で生育している。環境省によると、産地が少ないことや園芸用の採取などが原因で、野生のカンランは減少。近い将来絶滅する危険性が高く「環境省レッドリスト2019」で絶滅危惧種に分類されている。
 県によると、県内でも愛好家による採取で数が減り、野生のカンランを見ることがまれになったため、指定した。
 希少野生動植物保存地域は、絶滅の恐れが高い種を保護しようと「県未来につながる環境を守り育てる条例」に基づき指定。今回のカンランを含め、トビハゼ、ゲンゴロウなど計53種を対象としている。内訳は▽植物26種▽魚類4種▽甲殻類・剣尾類1種▽貝類11種▽昆虫類11種-。採取や損傷、殺傷などの禁止行為をした場合、同条例に基づき同様の懲役か罰金が科せられる。

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