一風堂 「RADIO FANTASY+4」- 季節の変わり目にぴったりな美しい音楽

季節の変わり目にぴったりな美しい音楽

一風堂というバンドに最近興味を持った。私が生まれる前に活動していたバンドらしく、彼らのファッションやメイク、曲名、CDジャケットは私の心をキュっと掴んだ。このアルバムの中の音はとても軽やかで、キラキラしていて、私を宙に浮いているような気分にさせた。その音は、暖かくなり始めたこの時期特有の浮遊した気分で聴くのにぴったりだ。しかし同時にそれはどこか不確かで消えてしまいそうな不安定さも含んでいて、時折こちらをセンチメンタルな気分にもさせる。これは、鮮明には思い出せない記憶を遠くからぼんやり見つめている時の感覚に似ていた。暖かくなってきたので薄着で寝たけど、やはり少し寒くて起きてしまった朝に聴いたアルバムの8曲目「モーニング・メニュ」は、季節が変わる時の期待と不安が混ざった思いがした。冬が終わりに近づき、自分や周りの環境の変化を肌で感じ始めるこの季節、服装に迷いながら聴いていたい美しい音である。(Asagaya/Loft A:田中いずみ)

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