若者必読!大阪府知事選挙の投票前に知っておきたい10の数字

7日に投開票を迎える大阪府知事選挙は全国から注目を集めています。また、18歳選挙権のもとで行われる初めての大阪府知事選挙ということもあり、若者の動向が注目されています。

そこで、大阪府政において若者とかかわりのある10の数字をご紹介します。候補者の政策を読み解く際の参考資料として、ぜひご確認ください。

大阪府の人口は882万人 。これから人口減少局面に

大阪府の人口は約882万人(平成31年1月1日。毎月推計人口)と前年から7千人ほどの減少となっています。
大阪府の人口は1990年代から880万人程度を維持していましたが、2020年ごろからは毎年4万人程度の人口減少が予想されるなど新たな局面を迎えています。

図表1_大阪府の年齢別人口の推移、年齢階級別純移動数

若者が移り住む一方で、毎年3,000人超の子育て世代が他府県に移住

年齢別の移動数を確認すると、近年大阪府には10代後半~20代前半の若者が移り住む一方で、30代や0歳~4歳が転出していることがわかります。このことからは幼い子どもをもった家族が府外に転居していることが推察されます。
なお、大阪府の合計特殊出生率(平成29年度)は1.35と全国で35番目となっており少子化も進んでいます。

2015年には府民の4人に1人が65歳超

大阪では少子化に加え、高齢化も進んでいます。
65歳以上の方の割合は、2000年には大阪府民の約15%ほどでしたが、2015年には25.7%と府民のおよそ4人に1人の方が高齢者となっています。
なお、今後も高齢化は進み、2030年には府民の29.5%が高齢者となることが予想されています。
また、大阪府内には団塊の世代の方が多く居住されていることもあり、2025年には75歳~79歳の世代の方が府民のおよそ7%を占める見込みです。

2020年には1万人を超える介護人材が不足

高齢者人口の増加は、近い将来の介護需要の増加にも結びついていきます。
厚生労働省の調査によると、2016年度に大阪府内には15.1万人の介護職員の方がいましたが、2020年には17.9万人、2025年には20.8万人の介護職員の需要が見込まれています。

今後も介護職員の増員が進められる見込みですが、2020年に見込まれている職員数は16.8万人と1.1万人程度の不足が予想されています。

677人(保育所)と468人(放課後児童クラブ)。大阪府の待機児童

子育てをめぐる環境でも問題となっていることがあります。

大阪府の待機児童数は2018年4月1日時点で677人。前年度からは513人の減少となっています。なお、4年前の2014年は1,124人の待機児童がいましたが、1,365名(2015年4月)、1,434人(2016年4月)と推移しています。

また、「小1の壁」が有名な放課後児童クラブの待機児童数は前年度(409人)よりも59人増えて468人(2018年5月1日時点)となっています。前回知事選挙のあった年である2015年5月1日時点の放課後児童クラブの待機児童数は631名でした。
放課後児童クラブを利用する児童数は5.5万人(2015年)→6.7万人(2018年)と近年施設整備が進んでいることがわかります。

児童相談所での児童虐待相談対応件数は18,412件

報道で目にすることも多い子どもの虐待について問題意識をお持ちの方もいらっしゃることと思います。

図表2_大阪府における児童相談所での児童虐待相談対応件数

図表にもあるように、大阪府の児童相談所での児童虐待相談対応件数は年々増加しており、2017年度は前年よりも669件多い18,412件と、全国最多となっています。
児童虐待相談への対応件数については、本来ならば対応が必要な案件に行政の手が届かないことも問題になっています。その中で、多くの問題に対応しているということは、ただ数が多くて問題であると評価する以外にも、行政が適切に問題を発見、対応することが出来ていると評価することもできるかもしれません。

また、「子どもの貧困」への関心も高まっています。
千葉商科大学 戸室氏による子どもの貧困率(18歳未満の末子がいる世帯のうち、最低生活費以下の収入しか得ていない世帯の割合)の比較において、大阪府は2012年に21.8%と全国で2番目に高くなっています。なお同数値は2002年には19.2%、2007年には16.3%でした。

少子化の進む大阪府において、地域の中で子どもたちが健やかに育まれ、活躍していくためにはどのような政策が求められるのでしょうか。

2017年度は1,078万の外国人が大阪府に宿泊

地域の活性化を考える上で、訪日外国人観光客の取り込みも注目されています。
政府観光局によると、2017年に大阪府に宿泊した外国人数(延べ人数)は1,078万人と、2011年(218万人)に比べて約5倍になっています。
また、都道府県別訪問率のランキングでは38.7%で全国第2位となっていますが、訪日目的を「観光・レジャー」に絞ると訪問率44.1%、全国第1位となり、観光地として人気を集めていることがわかります。

1人当たり県民所得は312.7万円

県民経済計算によると、大阪府の平成27年度の県内総生産(名目)は39兆1070億円、増加率は2.4%と、全国平均(3.1%)、近畿(2.7%)を若干下回る成長率でした。

平成27年度の1人当たり県民所得312.7万円で、すべての都道府県の中で高い方から数えて9番目となっています。県民所得の増加率は年によってばらつきがあるものの、平成25年度からは3年続けてプラスとなり、リーマンショック前の水準(2007年度330.1万円)が近づいてきています

平成31年度予算は2兆5,983億円。府民一人あたりでは29.3万円

大阪府の平成31年度当初予算は2兆5,983億円です。府民一人あたりにすると、約29.3万円になります。

予算の使い道としては、学校の運営や文化の振興などにあてられる教育費21.0%が最も多く、続いて商工労働費12.8%、福祉費12.6%となっています。
ちなみに、4年前の平成27年度当初予算では、支出の内で最も多かったのは教育費で21.2%、次いで福祉費14.4%、商工労働費13.4%でした。

なお、大阪府の予算では、社会保障関係経費などの支出が義務付けられている費用が増加していることもあり、経常収支比率が平成28年度、29年度と100を超えていたことも特徴の1つとなっています。

前回知事選挙の投票率45.47%

大阪府知事選挙の有権者数は約732万人です。
大阪府を100人の村に置き換えてみると、村人の内83人が投票権を持っていることになります。前回知事選挙の投票率は45.47%でしたので、今回も同じ投票率だと仮定すると知事選挙で投票する村人は38人になります。

大阪府知事選挙では、大阪都構想の是非が主要な争点となっていますが、大阪都構想は統治機構の在り方に関する議論です。統治機構の在り方は、本稿で取り上げたような子育てや高齢者福祉、地域経済などの分野において、どのような結果となってあらわれてくるのでしょうか。

今後、他のどの世代の方よりも長く大阪府とかかわりを持つことになる若者世代が、大阪の未来を「自分ごと」として考え、各候補者の政策を読み解き、納得のいく1票を投じていくことが期待されています

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