憑依型俳優クリスチャン・ベール、20kg増量の秘訣はTKG?!

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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第597回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベりたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、4月5日に公開された『バイス』を掘り起こします。

全部“ホント”の社会派エンターテインメント・ドラマ

“アメリカ史上もっとも権力を持った副大統領”と言われているディック・チェイニー。ジョージ・W・ブッシュ政権において、アメリカを操った“影の大統領”とも呼ばれています。製作のブラッド・ピットをはじめ『マネー・ショート 華麗なる大逆転』のスタッフ&キャストが再集結し、彼の恐るべき素顔を大胆に描き出した社会派ドラマです。

第91回アカデミー賞でも話題となった映画が、ようやく日本でも公開となりました。

1960年代半ば。酒癖の悪い青年チェイニーは、才女であり後に結婚する恋人リンに叱責されたことをきっかけに、政界を目指すことになる。型破りな下院議員ドナルド・ラムズフェルドのもとで政治の裏表を学ぶうちに、次第に権力の虜になって行くチェイニー。やがて大統領主席補佐官、国務長官を経て、2001年ジョージ・W・ブッシュ政権の副大統領に就任。大統領の影に隠れる地位であることを逆手に取り、彼は入念な準備のもとに“影の大統領”として強大な権力をふるうようになる。

そして2001年9月11日に同時多発テロ事件が起こると、ブッシュ大統領を差し置いて危機対応にあたり、あの悪名高きイラク戦争へと国を導いて行く。幽霊のように自らの存在感を消したまま、チェイニーはその後のアメリカと世界情勢に多大な影響を与える存在となるが…。

社会派ドラマなのに中身はコメディーという異色作。奔放かつ笑いを誘う語り口で政治を風刺する作風は、メガホンを取ったアダム・マッケイ監督がその手腕を発揮しています。そして何よりも特筆すべきなのが、主演クリスチャン・ベールの存在。

「チェイニーを演じられるのはクリスチャン・ベールしかいない!」と、熱烈オファーしたマッケイ監督の期待に応えるかのように、20代から70代まで演じきったクリスチャン・ベール。体重を20kg増量し、頭髪を剃り、眉を染めて、そして本年度アカデミー賞メイクアップ&ヘアスタイリング賞に輝いたメイクアップアーティスト、グレッグ・キャノンによる特殊メイクにより、本人そっくりに変貌。声の出し方、歩き方まで完璧に再現し、“演じている”というより“憑依している”と言った方がピッタリくるような役作りをみせています。

この脅威のパフォーマンスには、映画ファンならずとも目を奪われることでしょう。

これまでも過度な肉体改造で世界中を驚かせて来たクリスチャン・ベールですが、今回はさすがに彼の体を心配する家族の反対に遭ったのだとか。そこで栄養士の指導を受けながら“健康的に”20kg増量することになったのですが、そのときのメニューのひとつが、なんとTKG?! 1杯のご飯に卵を15個入れて食べたこともあったと言うから驚きです。

“史上最強のアメリカ副大統領”とも“史上最悪のアメリカ副大統領”とも謳われたチェイニーの裏側の“顔”。スクリーンで、とくとご覧あれ。

バイス
2019年4月5日からTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
監督・脚本・製作:アダム・マッケイ
出演:クリスチャン・ベール、エイミー・アダムス、スティーヴ・カレル、サム・ロックウェル、タイラー・ペリー ほか
©2019 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All rights reserved.
公式サイト https://longride.jp/vice/

八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。
機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。
初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。
トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com