元DeNA久保、メキシカンL開幕戦で初勝利&MVPの活躍「勝ててホッとした」

メキシカンリーグの開幕戦で先発し初勝利を挙げた久保康友【写真:福岡吉央】

開幕投手の大役で7回無失点の快投「結果には満足」も…「内容的にも納得できる投球を」

 メキシカンリーグのブラボス・デ・レオンに入団した元DeNAの久保康友投手が5日(日本時間6日)、本拠地レオンで行われた開幕戦、リエレロス・デ・アグアスカリエンテス戦(レオン)に先発し、7回3安打、10奪三振、無失点の好投で、白星スタートを切った。チームは5-1で勝利。久保はこの試合のMVPに選ばれた。

「開幕戦ということで少し緊張したが、勝ててホッとした。(6500人収容の)球場が満員になる中で投げることができて嬉しかった。メキシコの打者は日本の打者よりもパワーがあるので、コントロールに気をつけて投げた。ただ、結果には満足しているが、まだメキシコのボールに慣れておらず、制球ミスもあるので、一日も早くボールに慣れ、内容的にも納得できる投球ができるようにしたい」

 今年から公式球が変わったが、チームに届いたのは開幕13日前。球場の改修工事の影響で、本拠地のマウンドで事前に1度も投げることができなかったが、そんな苦境もものともせず。序盤からテンポのいい投球でアウトを重ねた。

 レオンの標高は約1800メートル。低地に比べて変化球が曲がらず、乾燥しているためボールが握りづらく、制球が難しいという。投手にとっては不利な環境だったが、オープン戦でも一度対戦した相手打線から次々と三振の山を築いた。

メキシコシティを訪れた際には近郊の遺跡テオティワカンのピラミッドに登った【写真:福岡吉央】

メキシコ文化も積極的に吸収、オフには3つのピラミッドを登り下り

 スタンドからの応援も力になった。レオンのあるグアナファト州には5000人以上の日本人が住んでおり、この日のスタンドには150人以上の日本人の姿も。メキシコ人のファンからも「久保コール」がわき起こるなど、チケットが開幕3日前に完売となる高い注目度の中で、無事に大役を果たした。試合後には、早速地元ファンからサイン攻めにあった。

 キャンプからメキシコ流を貫いた。日本のキャンプとは違い、メキシコではキャンプ中は休みが一日もないのが一般的。久保も約1か月間、完全休養日は1日も設けず、練習に強弱をつけながら開幕に備えた。メキシカンリーグ1年目の選手に課せられる事前のドーピング検査でメキシコシティを訪れた際にも、近郊の遺跡テオティワカンを訪れ、トレーニング代わりにピラミッドに登頂。「メキシカンリーグの頂点に立てるように」と、3つのピラミッドを登り下りし、必勝を祈願した。食事も、辛いメキシコ料理に果敢に挑戦するなど、野球だけでなくメキシコの文化も積極的に吸収しようとしている。

 次回は11日に敵地で行われるピラタス・デ・カンペチェ戦に中5日で登板予定。ブラボスは先発を5人で回す予定で、この日は次回への登板を考慮して7回での降板となったが、入団会見で「チームの誰よりも勝ち星をあげたい」と話した久保にとって、最高のスタートとなった。(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)

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