昨年8月のジャカルタ・アジア大会男子マラソンを制した井上大仁(MHPS)が、15日のボストン・マラソンに出場する。本番を前に4日、長崎市内で報道陣の取材に応じ「ペースメーカーがつかない中での勝負のレース。世界レベルでもまれてしっかり勝ち切れれば」と意気込みを語った。
マラソン参戦はアジア大会以来。ボストンへの本格的な準備に入ったのは、元日の全日本実業団駅伝(ニューイヤー駅伝)後ながら、駅伝練習と並行して、42.195キロを走りきるための下地づくりも継続してきた。
昨季はトラックや駅伝でも結果を残しており、昨年11月に1万メートルで27分56秒27の自己新をマーク。ニューイヤー駅伝も4区(22.4キロ)区間賞の快走で、チームを過去最高となる2位に導いた。黒木純監督も「どちらも状態がいいとはいえない中で、それくらいの走りができた。練習の中での余裕度、スピード感覚が上がっている」と高く評価している。
MHPS勢は井上のほか、木滑良、岩田勇治の2人も2020年東京五輪マラソン代表選考会「グランドチャンピオンシップ(MGC)」出場権を獲得するなど、全体的に上り調子。その絶対的エースである26歳は「日本一を目指すチームの柱である自分は、それなりの存在でないといけないと常に意識している。チームのいい流れの先頭に立っていきたい」と仲間たちの奮起も成長材料にしてきた。
レース本番の狙いは「タイムを出すよりも優勝争いに絡む」。今年は出場者のレベルが高く、持ちタイム2時間6分54秒は全体の13番目。その中で「自分がどれだけ力を発揮できるのか、どういう仕掛けや主導権を握っていけるのか」と勝負にこだわって挑む。