夕焼けに映える桜、西方浄土ここにあり。京都『平等院鳳凰堂』

(C)kurisencho

平安の世から現代まで変わらない。人々の心の拠り所。

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世界遺産であり、京都の国宝・重要文化財も多い『平等院鳳凰堂』は、1053年関白藤原頼家により建てられました。平安の京都において病気や争いの絶えなかった末法の世、貴族が救いを求め極楽浄土を表現し心の拠り所とした平等院。それは平成の世が終わる現代でも変わらず人々の拠り所となっています。

阿字池をはさみ、鳳凰堂と枝垂桜で現れる西方の極楽浄土。

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春の閉園間近の夕刻。夕日は鳳凰堂の裏側へ沈みゆき、逆行がやわらかくまぶしい。阿字池は黄金色に鳳凰堂を映し出し、手前でやさしく揺れる枝垂桜。空想の中の極楽浄土を再現し体感する瞬間に、思わず手を合わせてしまう美しさです。

「いずれここへ行くのか。行きたい。そのために今生きている現世をどのように生きていこうか」この世を去るその時に向けて、そう自分に問いかける貴重な時間帯を過ごせます。

数々の国宝と重要文化財。極採色に心奪われる。

白鷺も遊びに来ていました

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鳳凰堂内部の定朝作:国宝「阿弥陀如来坐像」も朝9:30から特別拝観も行われており、如来様のお足元へ伺えます。お堂内部は、仏像彫刻の理想像といわれる寄木作りの如来様と小壁には雲中供養菩薩像が、楽器を奏で、舞い、合掌をし、この世を去る人を迎えにきてくださる様子が立体的に浮かび上がっています。

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鳳凰堂の屋根に上には2代目の鳳凰がきらびやかに輝いています。初代鳳凰は鳳翔館ミュージアムにて展示されており、鳳翔館では優雅な天女の描かれた「梵鐘」、日本最古の大和絵「鳳凰堂中道壁扉画」など、人間がこの世を去るときの阿弥陀様のお迎えの様子が極彩色に描かれています。そして、雲中供養菩薩像の舞う展示室においては、体だけでなく心の深くまで響く強い感銘を受けるでしょう。

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「鳳翔館」では鳳凰堂をモチーフとしたポストカードや雑貨、お線香や御守りも取り揃えてあります。阿字池の近くでは御朱印も丁寧に書いていただけ、不定期で「浄土院」「再勝院」でも御朱印をいただけるのでぜひチェックされてみてはいかがでしょうか?

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たとえ桜の季節に間に合わなくても大丈夫です。4月下旬からは次のお花「藤」がちらほら咲き始め、5月の見頃に向けて力を蓄えています。

桜とともに、お浄土と大切なあの人を想う時を。

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現世とあの世を感じさせてくれる平等院鳳凰堂。大切な誰かとこの世で離ればなれになってしまったという方には、その大切な方のお心を感じているような感覚になり、心が締め付けられる想いがあふれるでしょう。しかしおそらくそれは「悲しみ」の心の締め付けではありません。

夕刻のその一時に、まさに「西方浄土」をその目に映し〈あの人はきっと笑っている〉そう想えることを願います。きっと「今」を生きるご自身が、その大切な人を忘れず、前を向き進む励みをいただけることでしょう。

『平等院鳳凰堂』

住所:〒611-0021京都府宇治市宇治蓮華116

交通:JR奈良線「宇治駅」徒歩10分

拝観時間:

庭園・8:30~17:30(拝観料600円)

鳳翔館・9:00~17:00(拝観料600円)

鳳凰堂内・9:30~16:10/各20分、店員各50名、受付9:00~(拝観料300円)

※2018年から鳳凰堂内部修理のため、現在堂内は足場が組まれており、2019年5月13日~11月15日までは内部拝観中止となっております。

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